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これでも僕は、この末っ子の全開の笑顔とオネダリには弱い、と自覚している。
いかに毒舌攻撃が十八番で周りをからかって振り回すのが趣味でちょっといい加減で無鉄砲で向こう見ずで気紛れで考えなしで悪戯好きだろうとも(そもそも、それは僕にも当てはまる)、誰よりも真っ直ぐに素直に育ったことを僕は知っているから。
「少佐、見た?!今の見た?!」
上空500メートルの夜空。葉は右手を風見鶏のようにぴーんと指さし上機嫌にふりかえった。
その指の先にあるのは、闇夜よりも尚暗い黒々とした煙と生命を象徴するような真っ赤な炎。
えらい勢いで夜空に燃えさかっているのは反エスパー団体が隠れ蓑にしていた製薬会社の研究施設だ。
「……やりすぎだ、ばか」
「えー。少佐だってしょっちゅうあれくらいやるでしょー」
「僕はいいんだよ、ちゃんと手加減してるし。だいたいおまえのアレは憂さ晴らしじゃん」
「だってあいつら、少佐に手ぇ出そうとするから!」
不機嫌そうに口を尖らせて殺気を漲らせて、そのくせ僕に叱られたことでほんの少し慌てたようすなのがこの子らしいというかなんていうか。
「はは、わかったよ。でもこれからはもっとうまくやれよ?ノーマルの被害はいくらでも構わないけどね、環境破壊はいただけないな」
「はいはーい」
「返事は一回」
「うぃーっす」
消防車の大合唱が煤臭い風に乗って僕たちの元まで届く。明日の新聞の一面を飾るだろう大企業の謎の爆破事故(というふうに見えるだろう)の見だしを想像して少しだけ愉快な気持ちになる。反ESP団体ということを差し引いても、裏で非合法な実験や癒着に手を出していたようだからさぞ面白いことになるだろう。たまには慈善活動も悪くない。
一応最後まで見届けてから、帰ろうとくるりと燻った炎に背を向ける。
すると葉がふわりと旋回して僕の前に回り込んだ。
「ねえ少佐、」
「ん」
「俺頑張ったんでご褒美欲しいッス」
顔をのぞき込まれ、くったくのない笑顔で、ごくごく軽い調子で言われる。
しかし、笑顔の裏に上手に隠した緊張が、ひらりと煌めくのに気付いてしまった。注意していなければ見逃してしまうほどほんの一瞬ったけれど。
「……しょうがないなぁ」
苦笑してみせて頭を撫でると、葉は「やったね」とへらりと笑った。
そして期待するような瞳に見つめられる。夜風でだいぶ冷たくなった唇にキスをして、続きは部屋でね、と囁いた。
船に帰ってからしばらくは、葉はリビングでカガリたちと一緒になってテレビゲームに興じていた。年下の子たちと夢中になって(大人げない、とも言えるかもしれない)遊ぶ様子はいかにも良いアニキといった風情であの悪ガキも随分成長したな、などと目頭が熱くもあるのだが、僕のことなどすっかり忘れてしまったようなのは複雑な気持ちになった。気紛れなのはお互い様だし、まあいいか、と僕が部屋に引き上げようとしたとたん「俺ももう疲れたから寝ようかな」と葉は腰をあげた。とはいえ僕についてくるわけでもなく、さっさと皆が思い思いにくつろぐラウンジから出て行ってしまった。
「だって、変に思われたら困るでしょ、しょーさ」
「うん、まあ困るけど」
真木と明日の打ち合わせをしたり、マッスルに追いかけられたりと色々寄り道していた僕が戻るよりも早く、部屋に先回りして僕を待っていた葉に、勝手に入るなとたしなめるとこう返された。2人きりになった途端にじゃれるみたいにしてまとわりつく葉は、いつまでたっても甘えん坊で昔からちっとも成長してないように思える。もっとも、僕といる時だって、他人がいれば相変わらず口は悪いし態度も攻撃敵かついい加減だしで甚だ生意気だから、こうやって素直に甘えてくれるうちはまだマシなのかもしれないと思い直した。
今では、葉のほうが僕よりも少しだけ背が高い。
随分大きくなったなぁと唇を受け容れながら頭を撫でた。立ってられないほど(少なくとも僕は足に力が入らない)長く息苦しいそして腰にクるようなキスをしても、なかなか離してくれない葉を無理矢理引きはがして適当にベッドに追いやった。シャワー浴びてくるから待ってて、と声をかけるとそんなのいいから早くしろよと不機嫌そうな声が飛んだ。
ベッドの横に立ったまま、仕方ないねと寝そべる葉の髪を指で掬うと、葉の方はもう風呂に入ったらしい、石鹸の匂いがした。
「やっぱ入ってくるよ」
「いいよ、少佐って匂いほとんどしないし……むしろ良い匂いする、スキ」
葉は寝転んだまま、ベッドの脇にたつ僕の腰に腕を回し、くん、と鼻先を腰に近づける。
躰の中心を服越しに唇が掠めた。布が隔たって邪魔しているはずなのに、直に肌にふれるよりもはるかにぞくりと倒錯が快感になって背筋をかけあがった。
「どこでそんな誘い方覚えたんだよ?」
あごを指先ですくって上向けさせる。熱を帯びて見上げる視線とぶつかった。ひどいなぁ俺はアンタとしかやらないのに、とうそぶく葉は僕に腕を回したまま、つまり手を使わずに口だけでベルトを外すという器用な芸当をやってのけた。ファスナーの金具を紅い唇から現れた歯でかちりと挟んで降ろす。
じょうずじょうず、と頭を撫でると、下着越しに舐められる。下着がじんわり濡れて気持ち悪くて、思わず掠れた声を漏らしてしまった。それに気を得た葉がにやりと笑ってさらに遠慮無く舌を伸ばした。あまり調子にのるなよ、と低く囁くと今度は甘えたように「早くアンタが欲しい」とぎゅうとしがみつかれる。熱心に舌を這わせる仕草は、ミルクを舐めとる猫のようだ。いつのまにか下着が降ろされぴちゃぴちゃと水音が響いた。
「葉……、ちょっと、そこに座れ」
「なに……?」
はっきり言ってかなり気持ちいいし、だからこそあまり葉の好きにさせたくなかったので、一言命令する。お座り、と冗談ぽく囁くと、それこそ犬のようにシーツのうえにぺったり足をくずして座った。頬を両手で包むように撫でるとくすぐったそうに身を捩る。ずいぶん素直だな、と思ったのは、多分僕に似て葉も気持ちいいことが好きだからだ。
普段は生意気なのに、全身で恋しさを表現して素直にねだる様子は元からの性質もあるだろうけど躾の賜だろう。愛情たっぷりの飴と鞭だ。仰向けに寝かせ、シャツを脱がせる。さっきまでは自分から誘うようだったのにこちらが少しでも積極性を見せると一変して恥じらいを見せるのもまた可愛らしかった。なら最初から無理はしなければいいのに、と思うが全身で愛情を表現されるのはきらいじゃなかった。
「どうしてほしいんだ?」
「ひっ……アンタ意地悪だっ…いきなりノリノリとかずる、いっての!」
「そうだ、ご褒美がほしいんだっけ?」
やわらかい耳たぶを中まで舐め上げ耳の奥に囁くと、もう言葉にならない呻き声しか聞こえない。わざとらしく笑って問えば喉を仰け反らせて甲高い悲鳴が聞こえる。潤んだ瞳で恨みがましく力一杯睨まれ、覆い被さっ体を力一杯蹴り飛ばされる。
好きなだけ甘やかしても。
愛しくて、楽しくて、愉快でたまらないのは僕のほうだった。
飴とキャンディ
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口でベルト外してファスナー降ろすのってえろいよね。
こんな感じに甘やかして調教してるような兵葉が見たいです。生意気でやんちゃな子をどうにかしたいです。少佐のいうことだけを聞く感じに!誰かかいてください。
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