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☆こちらは絶対可憐チルドレンの私設ファンサイトという名の妄想垂れ流し二次創作サイトです。 ★原作者・出版社・テレビ局・アニメ制作会社等とは一切無関係です。女性向け、腐った妄想垂れ流し注意。☆少佐と愉快な仲間達(幹部3人)を愛でるサイト。葉の可愛さにやられた。兵葉推進してますよ!妄想CP:真木×兵部、真木×葉、兵部×葉、葉×兵部、幹部と少佐を愛でたいです。葉受けが好きかもしれない。何あの可愛いツンデレ。
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書きためて毎日更新する、というのはせっかちな私にはちょっと無理でした\(^o^)/おまけに全部出来るまで待つとなったらどれだけ時間かかるんだよって話なんで。今の自分にはこの速度が精一杯です。連休あければもう少し余裕できるんですが…!
そんなわけで今までどうり出来たのからポチポチうpということにしようかと思います。どっちがいいんだろうなーうううん。


Kids Nap―キズナ―8

拍手[1回]



「少佐危ない!!」
「んもう、壁ごと破壊しないでよ!粉塵で私がテレポート出来ないったら!」
「狭いんだから仕方ないだろ!」
「それにしてもわらわらわらわら、何処から沸いてくるんだ全く」

バルル、バルル、と鳴り響く騒音に兵部は苛つきながら念動力で弾丸の軌道を変えた。
資金に物を言わせたガトリングやらランチャーなどの最新式の銃砲の嵐で迎えられ、熱烈な歓迎に答えるように派手に蹴散らしながら邁進した。
ノーマルなんて所詮兵部の敵ではなく、うち捨てられた旧軍事施設の最深部に潜り込むのにそう時間はかからなかった。

デッドオアアライブ、生死問わず。
兵部の行く手を塞いだ瞬間から、殺されたって文句は言えない。ただしこの場合、兵部は相手の生死にはさほど興味がなかった。一々息の根を止めたか確認する程の関心も余裕もなく、ただ、道が出来ればそれでよかった。動きを止められた兵士たちが幾重にも折り重なる血の道を、兵部と彼の部下二人は突き進んだ。

「出迎えはあらかた蹴散らしたようですね」
「ああ。だが油断はするなよ」
「もちろんです」

階段を幾つも降り、廊下の角を曲がる。使い古された空気ダクトが壁を這い、淀んだ空気を吐き出していた。複雑に絡み合うパイプは、有機物のように、特に人間の血管を思わせた。
空気がますます濁る地下の一角は、冷気のおかげでそれほど息苦しさは感じなかった。ただし、それとは別の胸を締め付けられるような焦燥に心臓の鼓動が早くなる。

「ここだ」

一際奥まった一角を塞ぐ扉の前で兵部は足を止める。ものものしい鉄の扉は、侵入者を阻むように沈黙を強いる。背後の真木と紅葉は互いに強張った顔を見合わせた。
兵部は一瞬だけ眉を寄せただけで、それ以上の躊躇は見せなかった。

――ドォン!

重い鉄の扉を念動力で蹴り飛ばした。バキ、とイヤな音を立てて鉄板が真ん中から二つにひしゃげた。埃が舞い上がり、最後にカラカランと軽い音を立てて古びたドアノブが転がった。

「葉、いるか…?!」
「お願い、いたら返事して…!」

声がエコーし反射する。相当広い空間のようだった。部屋は薄暗く、舞い上がった粉塵のほうが白い靄のようで明るいくらいだった。
しかし目が馴れるまでなんて悠長に待てず、手探りで1歩踏み込んだ。下水と、埃と、血の混じったような厭な匂い。

廊下の非常灯から漏れるランプの光で徐々に順応する兵部の目に真っ先に飛び込んできたのは、投げだされた疵だらけの白い手足。

「……葉?」

部屋の片隅でうずくまるように体を丸め意識を失っている少年の体。

「……ッ!!」

そんな尋常でない状態の人間を、すぐさま愛しい養い子と認識した自分に兵部はショックを受けた。それくらい、苦悶を浮かべ死んだように瞳を伏せている表情にかつての生気に満ちた面影はみあたらなかった。今度こそ声も出なかった。思わず口元を覆う。

「おい、しっかりしろ…!」

わずかな距離ももどかしく、兵部は瞬間移動で葉の元に飛ぶ。次の瞬間にはひしと抱きしめていた。

「んなっ……!これは一体…!」
「う、嘘でしょ?!」

真木と紅葉もすぐに何があったのか気付いたようだった。


目の前の惨状に頭がついていかない。
認めたくないという葛藤が波のようにサァと血の気と共に引いたあとは、度し難い怒りが押し寄せる。幼い時に自分が見いだし、大切に育てていた子供を傷つけられて冷静でいられるはずがない。
兵部は葉を腕の中に抱きしめたまま何度も何度も葉の名を呼んでいた。


この状態で不意打ちされたらまずい。
真木も怒りに支配されてはいたが、だからこそ冷静でもあった。周囲を注意深く観察する。人の気配を感じられないことにひとまず安堵すると、二人の傍らに傍らに膝をついた。

身体中に残る無数の傷跡、手首には引っ掻いたようなみみず腫れが残り、平行するように火傷の跡もあった。恐らく電流も流せる鋭利な金属で拘束されていたに違いないと判断し真木は顔を顰めた。おまけに何とも判断し難い体液が顔と言わず体と言わず、多量に付着している。
何があったかを推測するのは容易かったが、受け容れるのは困難だった。

「どうして。こんな」

連絡がない以上、拉致され報復されていることを予想をしていなかったわけではない。だとしても、あまりにも姑息で卑劣な想像を絶する種類の手段だった。

兵部は葉の頬に手を当て、繰り返し名を呼んだ。しかし葉は何の反応も見せない。
無為な言葉が暗闇に零れ落ちる。スポンジが水を吸収するように、乾いた言葉だけが眠る葉に届かずに消えていく。

真木が顔を背けたその時、片隅に葉のものと思われる衣服が、持ち主と同じように無造作に放置されているのに気付いた。顔をあげると紅葉も気付いたのか、目が合った。紅葉は真木にこくりと頷いて見せると、「少佐、ちょっと離れて」と抑揚のない声で囁く。

兵部が葉を抱く腕を緩めると、ひゅん、と軽く空気が揺れてところどころ破れた衣服が空間移動で葉の肢体にまとわりついた。破れて汚れているが、着られないものでもない。寒々しい体を一刻も早く休ませてやりたかった。

「はぁ……。ありがとう紅葉。ちょっと僕は冷静じゃなかったみたいだ」

兵部が自嘲すると、紅葉は冷たい床にぺったりうずくまったまま、「そんなことない」とぶんぶんと頭を振って鼻をすすった。兵部は学ランの上着を脱ぐと、破れたシャツの上から更に羽織らせる。抱きかかえた体は冷え切っていた。でも、呼吸はしている。生きている。

「だいじょうぶ、気を失っているだけだ。……いや、ちっとも平気じゃないけどさ」

はは、と乾いた声は溜息にも似ていた。それでも大きく息を吐き出したことでほんの少しだけ声から強張りは薄れていた。

「いえ、手遅れになる前に取り返せただけで……今はこれが最善です。ところで少佐、何かわかりましたか」

葉の額に手を当てている兵部に漠然と聞いてしまってから、「その、首謀者など」と真木は慌てて付け加えた。この状況でサイコメトリーを発動して得られる情報の9割9部が目を背けたくなるおぞましい混沌の滓に決まっているのだ。しかし兵部は首を捻った。

「それが、よく透視めないんだ。さっきからやっているんだけど……モザイクのフィルターがかかっているみたいにぼんやりしている上に、カメラがブレまくってるような感じ。余程混乱しているのかもしれないけど、それにしては不自然だな」

その時ふいに、びくりと葉の体が揺れた。

「葉…!」

兵部は幾分ほっとし、「気付いたか」「もう平気だよ」と囁いた。本当は今すぐにも無事を確かめたい焦りを押し殺し、賢明に一際優しい声で安心させるように頬を撫でる。

「僕がわかるかい?」

ゆるりと睫毛が揺れる。現れた色素の薄い双眸は濁り、どこを見ているかわからない。
焦点が合わない虚ろな瞳をのぞき込むようにしっかりと視線をあわせ、ゆっくりと言い聞かせるように言った。

「ぁ……ぁ……」

長い時間を待ってようやく呟かれたのは熱と苦痛に魘されたうわ言だった。
それがいっそう、見守る三人の胸を締め付ける。
感情の濁流に押し流され理性が決壊しそうになるのを必死に踏みとどまり、辛抱強く愛しい子供に呼びかけた。


怖がらせてはいけない、脅えさせてはいけない。
どんなに心配していたか、どんなに愛しく思っているか伝えたかった。どんな状態であれ、葉の意識が戻ったことを、生きていることを何より喜んでいるのだということを伝えたかった。

もうだいじょうぶだから。
安心して目を覚ましてごらん。

溢れかえるほどのそんな思いを正確に伝える手段は他になく、今はただ名を呼ぶことしか出来ない。

しかし。

「ぁ……あ、やっ、離せっ……!離して、ヤ、ァアアアアア!」

飛び出さんばかりに大きく開いた瞳孔から大粒の涙がぼろぼろと零れる。
喉の奥から引き絞る咆哮。この子供がそんな声を発するのを初めて聞いた。

「葉、僕がわからない?」
「、に…言…って、やだ、もぅ…、の、」

兵部を真っ直ぐに見上げる瞳はすっかり脅えきっている。恐れ以上に、憎しみのような感情さえその瞳に宿っていることを認め兵部は困惑した。多少錯乱しているかもしれないとは危惧していたがこの怯え方は尋常ではなかった。

「ヒッ……ん、も、許し……っお、ねがっ……!!」

どこにそんな力が残っていたのだろうかと思わせる力で、葉は兵部の腕を振り払う。

「きゃ…!」
「わっ」
「ぐっ……!!」

おまけに恐らく無我夢中で放った彼本来が持つ衝撃波が上乗せされ、直接接触していない真木と紅葉までも揺さぶった。超音波で電気の切れた室内灯が幾つか割れた。

「落ち着け、葉!」


真木が咄嗟に炭素の壁を作ると振動波を遮断した。反撃を予期せず至近距離で力の干渉をくらった兵部が頭痛を抑えながら葉の頭に手をやると催眠を発動させる。一番単純な、負担がかからない形で葉の意識の消失を促した。

「……ん…」
「ごめん。すぐ助けるから。もうしばらく眠っていて」

錯乱している今はこれしか方法がない。一刻も早く安全な場所に連れ帰るのが先決だった。意識を失っているだけとはまた別の、穏やかな寝息を立て始めるのを見守る。

「少佐、お怪我は」
「これくらいこの子の傷に比べたらなんでもないよ。それより……」
「ええ、……葉の様子、おかしくありませんでしたか」
「やっぱり君もそう思う?でも、相変わらず何も透視めないんだ」

もう少し落ち着けば正常に透視出来るかもしれないけど。
怖がるだけでなく、あの子にあんな敵意を向けられたのは初めてだ。

 

どう判断したものか逡巡した時、壊したままの扉に人影が現れた。

「はは、ずいぶん面白い見せ物だったな」

ダークスーツを身につけた、予想よりも若い男。中肉中背でこれといって特徴もないし明確な悪意も読み取れなかった。あるのはただ、見下し小馬鹿にする笑い声だけ。真木と紅葉は扉に視線を送り、兵部と葉を背に立つ。

「真木ちゃん、……良いわよね?」
「ああ。俺も手加減出来そうにない」

涙をぬぐって立ち上がった彼女の周囲の空間が形を変え、真木の黒髪が生き物のように大きくうねる。すでに臨戦態勢の二人とは反対に、兵部は葉を抱え座り込んだまま、振り向きもしなかった。


「君がパンドラのリーダーか。無視とは悲しいね。せっかく君を待っていたのに」
「……葉に何をした」
「ああ、それのことかい?具合の良い、随分楽しい玩具だったよ。だが勘違いしては困る。壊れたのは私のせいじゃないし、こちらも迷惑しているんだ。もっとも、その意趣返しに君を呼んだってわけなんだが」
「どういう意味だ」
「さてね。君もサイコメトラーなんだろう?私から聞きたまえ」

随分馬鹿にされた、安い挑発だな。
兵部は口の中で呟くが、確かに葉からは何の情報も読み取れなかった以上、それ以外の方法はないように思えた。

「二人とも3分だけ待っててくれ」

兵部は強制的に空間移動で自分と、二人の位置を入れ替える。
葉を頼むよ。振り返らずに兵部は言った。





Kids Nap―キズナ―8




――――――

ちなみに記憶を失った葉からは透視できないので、何があったのかはこの時点では記憶喪失のことも含め兵部さんはわかっていません。でも脅えるだけならまだしも敵意まで向ける葉をいぶかしんでる感じで。
続きます。



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