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今度は真木兵でございます。
短いです。
猛獣の飼い方10の基本
1あるていどのきけんをかくごしましょう
2じぶんをしゅじんだとにんしきさせましょう
3せをむけてはいけません
4むりにいうことをきかせようとしてはいけません
5あまやかしすぎはいけません
→6なつくとたのもしいそんざいです
「ねぇ、真木」
「なんですか」
「デートしようよデート」
真木は、自分がランプの魔神か、靴屋の小人か、はたまたうちでの小槌なくらい優秀なしもべであることは認識しているし、そうでありたいとも思っている。だがこれは予想外の注文でる。
「あの、どういう」
「デートだよ、もしくは逢い引き。あるいはランデブー」
最後の一個は違う、と真木は思ったが、有り体に包み隠さず誤解を恐れずに言うならば、そもそも3つともどうにも真木の感覚(とこの場の会話の流れ)からずれた言葉なのだ。
「お供します」
だから、真木はそれ以上は何も言わずうやうやしく兵部の手を取ったのだった。
――――
気晴らしに賑やかな街を見て回りたい、というのは真木にもわかるし、騒々しい場所でのショッピングも苦手ではあるが嫌いではない。
でもこれはかなり奇妙な取り合わせではないのか。
真木はさわやかな新緑の五月の街並みを歩きながら、となりを歩く小柄な学生服の少年をうろんな顔で見遣った。
一体自分たちは周囲にどう思われているのだろう。
男女だって、制服姿の未成年を連れて歩く青年というのは違和感といかがわしさを想像させるものなのに、まして自分たちは同性だ。
そして真木は自分の外見が、普通の日本人男性から逸脱していることを自覚していた。
心なしか、先ほどから周囲のちくちくとした視線を感じる。
「少佐、もう気が済ん……」
「まだだよ、新しいパソコンもほしいし、家具も見たいな」
「ネット通販じゃだめですか……」
「僕、自分で触って選びたい派なんだよね」
「はぁ」
「あと、棚指さしてさ、「ここからここまでください」っていうのやってみたい」
「パソコンをですか?!」
大人買いってやつ?と兵部は笑う。
「それは"大人げない買い”です、少佐」
「なんだよ、ケチ」
空を、飛べばいいのだ。
こんなノーマルの人混みに紛れる必要はない。
真木はちらりと高級ブティックのウインドーに映った自分を見る。
やはりすこしこの街から浮いている。
人目を引く高身長に、長い髪に無精髭。
その時兵部がちらりと真木を見上げた。
「おまえはもう少し危機感を覚えるべきだ」
「危機感、ですか?」
「自覚でもいい」
ますますわけがわからない。一つ言えることは、兵部が真木のことを上から下まで検分するように視線を動かした、ということと、戯れに触れる腕。
まさか町中で男同士で腕を組むわけにもいかない。が、兵部は荷物(兵部のいうところの"大人買い"した本)を抱える真木の手に、荷物によって見えない影で、さりげなく触れていた。
「通り過ぎるお嬢さん方がね、みんな真木を見て振り返るんだよ」
「それはこんな目立つ恰好してるからでしょう」
「なに寝ぼけたことを言ってるんだよ。僕はテレパスだよ?」
人混みでのそういった感情のやりとりは、精神感応にも優れる兵部にとって煩わしいことではないのかと真木は危惧したが、兵部は楽しげに言葉じりを弾ませただけだった。
「もちろん僕が睨みを利かせて追い払ってるけどね」
なかなか優秀なボディーガードだろ?と兵部は得意げに胸をはった。
なつくとたのもしいそんざいです
これは機嫌がいい日のパターンで、なつかない(or機嫌が悪い)場合は真木を放置してどこかに消えます
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