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☆こちらは絶対可憐チルドレンの私設ファンサイトという名の妄想垂れ流し二次創作サイトです。 ★原作者・出版社・テレビ局・アニメ制作会社等とは一切無関係です。女性向け、腐った妄想垂れ流し注意。☆少佐と愉快な仲間達(幹部3人)を愛でるサイト。葉の可愛さにやられた。兵葉推進してますよ!妄想CP:真木×兵部、真木×葉、兵部×葉、葉×兵部、幹部と少佐を愛でたいです。葉受けが好きかもしれない。何あの可愛いツンデレ。
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リターンズ読み返していた。
葉ってなんであんなに可愛いんだろうね!兵部ラブっぷりがパネェよあの子。
まじで可愛い



Kids Nap―キズナ―10

拍手[1回]


それからのことは、あまりよく覚えてはいなかった。

テレポートを繰り返してようやく船に戻ってみれば、兵部の腕の中でぐったりと気を失っている葉のことを出迎えた仲間達に執拗に問われても説明することが出来ずに「大丈夫だよ」と根拠のない希望的観測で曖昧に追い払う。ただならない様子に仲間達もそれ以上は口をつぐみ、不安気に顔を見合わせたのだった。

眠っているうちにとバスルームに運び、汚れも澱も洗い流して疵だらけの体を温める。兵部はすっかり疲労していた。温かく心地良い湯気に浸るほど、体の芯が冷えていくような気がする。学生服の裾をまくりあげてはいたが飛び跳ねる水しぶきにすっかり自分もずぶ濡れになっていた。

あらかた洗い終え、頬にかかる濡れた癖毛を払いながらこれからのことを考えていると、葉が苦しげに身動ぎした。薄い色の双眸がぼんやりと開かれ、まるい瞳に兵部の姿が映り込む。

「……ん……あ……」

まずい、と兵部が思った時には葉は能力を暴走させていた。

「う、ぁ、あ……うわああっ」

キィィィンと空気が振動波によって揺れ、狭くはないバスルームに音波が響き渡る。
ガラスの扉とアクリルの壁に、音の衝撃がかぎ爪のようにくっきりと刻みつけられる。もちろん兵部も無事では済まなかったが、もろにくらった波動で頭から血を流しても兵部は葉を抱きしめる腕を放さなかった。

「やめ……も……」
「葉、落ち着くんだ。これ以上はおまえの脳に負担がかかる。大丈夫だから、僕は何もしないよ」

兵部の言葉が届いているのかいないのか、葉は荒い呼吸とともに暴走した超能力を納めていった。兵部のいうとおり、超能力中枢にダメージが走っているのかもしれなかった。頭痛を訴えるようにこめかみを押さえて呻く葉の背をすると、葉はようやく大きく息を吐き出した。

「ハァっ、ァッ俺、を……どうす、……の」
「君の嫌がることは何もしない。自分の名前は言えるかい?」
「なに、言って……、あんたが、」

問いかけながら兵部は透視をする。記憶の混濁は当初よりは落ち着いて、透視に不便はなかったが、やはり葉が自分で記憶を破壊した時点から突如上書きされたここ数時間の記憶を覗くことしか出来なかった。むしろよりくっきりと刻まれた苦痛の記憶を鮮明に透視てしまい、兵部は顔をしかめた。

「すまない、……僕のせいだ」
「……な、に……わか……ね、ェよ」
「許してもらおうなんて思ってないけど、治療だけはさせてくれ」

あらためて見ると、酷い有様だった。陵辱された白い体はどこもかしこも殴られたような痣と切り傷があったが、中でも一番兵部に堪えたのは腕やふとももにくっきりと刻みつけられた指の跡だった。余程強く掴まれたのか赤黒い痣になった跡は直視するのがためらわれた。一つ一つは命に別状のあるものには思えなかったが、足の間を伝う血の流れたあとや、腫れ上り嫌な色をした鬱血やは痛ましく、大きめの柔らかいタオルで包んでもう一度強く抱きしめた。

「俺に……さわ、んな……っ」

兵部の手が触れるたびに、葉の反撃が共鳴するように強くなる。今や攻撃する手段を取り戻した葉は、明かな殺意を持って力を暴走させていた。捕らえられていた時はESP錠で能力を封じられていたのだ。ストレスと負荷を緩和させるためにも、好きなだけ力を解放させてやりたかったが、これ以上傷ついた脳で力を使わせるのは危険だった。

「全部受け止めてやりたいけど……ゆっくり休んで、それからだよ。そしたらいくらでも暴れていいさ」
「絶対……殺……や、る」

からっぽになるまで気力を使い果たした葉が倒れるのはむしろ当然だった。
やれやれ、と兵部は溜息をついた。

怯え竦んだ瞳に、自分がどんな風に映っているかなんて、ずいぶん気の滅入る想像だった。この子のためを思うならばと、ひとまずのところを他の子供達に任せることにした兵部が真木と紅葉を呼ぶと、2人はすぐにテレポートで半分ひびの入ったガラス扉を飛び越えて現れた。
2人ともけたたましい物音に気付いて飛んできたものの、ただならない様子に、バスルームのすぐ外で待機していたのだった。

「ちょっと葉の世話頼んでいいかな」
「もちろんよ。でも真木ちゃんはあなたの世話をしたそうよ。葉のことは私に任せて。ほら、真木ちゃん?」
「……少佐、あなたはこちらへ。怪我だらけではないですか」
「……わかったよ」
「後でちゃんと説明してよね」

ヒュン、と葉と紅葉が消え、あとには真木と兵部が残される。
騒がしかった浴室は途端にしずかになった。

 

 

――――

 


「……と、いうわけなんだ」

ベッドの傍らに椅子を引き寄せ、こんこんと眠り続ける葉を見守りながら兵部は2人の子供達に告げた。

自分が透視たことを、出来る限り客観的に。彼にしては珍しく感情を押し殺したような声音から、勘の良い2人の子供はその聞くに堪えない言葉が脚色のない事実であることをおぼろげに察した。

「葉の記憶は戻らないんですか?」
「……もちろん僕の力なら修復は可能だよ。でもどう考えたって、問題はそこじゃないだろ」

兵部は皮肉というよりも、どうしていいかわからないと途方に暮れているようだった。

「違わないわよ。この子は私達のために……ううん、少佐のためにたった1人で戦ったんでしょ?少佐が助けてくれるって信じて」
「ならば今度はあなたが葉を信じてやるべきです」

年齢も背丈も、自分よりはるかに大きく育った2人に諭されて兵部は苦笑した。
取り返しのつかない過去を思い悩んだってどうにもならないのだ。

「うん、そのとおりだったね」

ごめんねもありがとうも愛しいという思いさえ、このままでは何一つ伝わらない。

「全部記憶を取り戻してくれたら伝えたい言葉がたくさんあるんだよ」



兵部は恋人同士のように、あるいは幼い子供にするように、眠る葉の手をとり指を絡ませると目を閉じた。精神感応で葉の意識の奥にしずんで行く。


長期記憶や意識を司る前頭葉にテレパシーで接触する感覚は夢を見ているのにも似ている。
テレパシーで精神の奥底を覗くだけでもすむが、記憶の修復を行うためにはもっと奥まで覗かなければいけない。それは葉の小さいころを知る兵部にとっては抵抗のないことだった。半覚醒状態で、体のコントロールを半分手放すと、半分眠っている意識がふわりふわりと、葉の夢の中へと重なった。


兵部は、困惑と混沌に満ちた秩序を持たない寂れただだっぴろい空間をさまよう。
葉の精神状態を視覚化したこの心象風景は、予想以上に荒れ果てていた。

痛みと恐怖の記憶が、可視できる構造物としてばらばらに点在していた。
それは小さいころ葉が嫌いだった羽虫やトカゲの形で象徴されていることもあれば、先ほど受けた暴力の記憶そのままが映画のワンシーンのように透明なスクリーンに再生されていることもあった。


兵部は気に入らないものをサイコキネシスでいつもそうするように、それらを一つ一つ拾い上げては見えない力で破壊して葉の中から取り除く。
こんなことをしても焼け石に水であるのはわかっているけれども。

ゆっくりゆっくり、今は眠っている葉の心を波立たせないように降りて行くのは時間がかかった。


ここが行き止まりなんだと、気付いた時には葉の精神は、不安定ながらも奇妙な静けさで膠着していた。
ぐるりと辺りを見渡す。馴れない精神感応者ならば戻ってこれない深淵。

兵部にはそんな心配は無用だったが、耳鳴りがしそうなほど静かで、眩暈がしそうなほど閑寂なこの空間に長くいると理性が混濁してきそうになる。葉の意識に取り込まれたまま、二度と目が醒ませないような錯覚に陥るのは甘美な誘惑で、そしてそれは自分の逃げであることを兵部は理解していた。

早いところ済ませないと。
心の一番奥深くには、葉の自我の中枢と記憶の根幹が無意識の表層に守られている。兵部はそれを使って記憶と人格の修復をするつもりだった。

そこは、今まで透視た葉の心のどこよりも温かいものに満ちていた。居心地がよさそうな空間は、幼い葉が兵部と2人の兄姉とともに過ごした部屋に似ている。
その中心でこちらに背を向けてぺったりと座り込んで玩具の積み木で遊ぶ小さな子供が見えた。

幼いころの葉だった。床に転がっている小さなブリキは、鳥をかたどったもので、自由な鳥によく似た葉に兵部が与えた玩具だった。

「葉」

思わず呼びかけ伸ばした手は、しかし、見えない力に拒まれた。

薄い膜。

触れば壊れてしまいそうなやわらかいベールが、小さな葉を守るようにぐるりと取り囲んでいた。やわらかそうな見た目と反して兵部の手を押しのけた。ぐにぐにと手の平の形に沈む膜は、それ以上の侵入を拒んで兵部の前に立ちはだかる。

薄い紗のむこうで守られた小さな子供は、名を呼ばれ、ぴくりと肩を揺らしたが、こちらを見ようとはしなかった。積み木の塔が驚いた拍子に崩れた。葉は立方体の木のカケラを拾い上げ、黙々と積み上げる作業に戻っていた。

「葉」

もういちど、名前を呼ぶ。
今度は、葉は虚ろな視線をちらりと兵部に投げかけたが、それだけだった。
また興味を失ったようにそっぽを向いてしまう。
光を反射してきらめくベールが、一段と分厚くなったような気がした。今や重たい緞帳のようだった。


(ああ、僕はこの子に、本当に拒絶されているんだ)

兵部はふいに悟った。
とっくに覚悟していたはずなのに。

「ハハっ……」

兵部は乾いた笑い声をあげた。
寂寥の中にあってなお一層悲愴的な笑い声だった。

やわらかい壁をサイコキネシスで物理的に突破するのは容易いが、そうすれば今度こそ、葉は心を閉ざしてしまうに違いなかった。

こうやって心の防護壁に守られる形で葉の心の奥に、いまだ侵されていない本来の葉が存在していることを確かめられただけでもよかったのかもしれない。

「また迎えにくるね」

葉を守るような形で閉じた見えない壁に兵部がキスを落とすと、積み木で遊ぶ小さな子供の背中が一瞬止まったように見えた。
 


Kids Nap―キズナ―10




――――――

サイコダイブをうまく文字化出来ませんでした。
黒巻のあれとアニメのあれとキャリーのあれをあわせたような感じでひとつ。

次回は葉視点です。
すれ違いのターンはそろそろ終わりですが話はまだ続きます。

お気に召したらぽちっといただけたら嬉しいですv




 

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