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☆こちらは絶対可憐チルドレンの私設ファンサイトという名の妄想垂れ流し二次創作サイトです。 ★原作者・出版社・テレビ局・アニメ制作会社等とは一切無関係です。女性向け、腐った妄想垂れ流し注意。☆少佐と愉快な仲間達(幹部3人)を愛でるサイト。葉の可愛さにやられた。兵葉推進してますよ!妄想CP:真木×兵部、真木×葉、兵部×葉、葉×兵部、幹部と少佐を愛でたいです。葉受けが好きかもしれない。何あの可愛いツンデレ。
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色んな要素があるので(?×葉)という表記にしてみました。
鬱展開です。年齢制限ありです。続きます





Kids Nap―キズナ―


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人気の少ない寂れた路地裏を連れ立って歩く男女。
青年は10代の後半で、少女はその半分くらいの年に見えた。

「あいつら、来ないね?」

こんな時間をこんな街灯も少ない通りを歩く人間もいないが、澪は声を潜めて隣を歩く葉に話しかけた。

「油断すんなよ?真木さんと紅葉が待機してるとはいえ……」

今回葉が首領に与えられた任務は、近頃パンドラを付け狙っていた敵の割り出しだった。
ノーマルを主として構成されたらしい件の組織は、用心深いのかパンドラの縄張りには極力入らないようにしてエスパー狩りを続けていた。気配だけを匂わせなかなか正体を見せない。

今回はそんな現状を打破するための苦肉の策である。
そこで幹部の中でも比較的無防備そうに見える――実際の子供にそんな危険な任務はさせられない――葉にお鉢が回ってきたわけだ。そこにまだ幼い澪が同行したのは、テレポーターがいたほうが作戦に幅も出るし子供がいたほうが相手も油断する、と最終的に澪自身が兵部を説き伏せたためという経緯がある。

その時だった。

「澪!」

嫌な空気を感じた。
例えるなら生暖かいブリザード。空気の振動。それは殺気とも言えるし、彼らエスパーが幼いころから身を置く、ある意味で気心の知れた匂いでもあった。

葉は空を裂き容赦なく降り注ぐ弾丸を空中でひらりひらりとなんなくかわしながら、突如薄暗い空間から現出した、拳銃をかまえたノーマルの集団を一瞥した。

「ったく。真木さんはまだかよ!」

ESPが関与していない弾丸など仮にもパンドラの幹部を任される実力のある葉にはあたるはずもない。ノーマルを蹴散らすのも簡単だが、多勢を一網打尽にするには二人では足りなかった。

「ちっ。こりゃあ一度撤退するしかねぇな」
「あぁもう!焦れったいなあ、こっちから行ってやる!」
「ちょい待て、伏せろ!」

葉は死角から暗視スコープを構えた男に気付くが早いか、傍らにいた澪の肩を抱き抱えた。乱暴に身体を曲げさせ床に押しつける。

「あたた……」
「あの屋上に飛んでくれ!早く!」

今まで澪の頭があった位置を通過した強化弾丸がコンクリートにめり込んでいる。

「了解――」

――シュン

時空がねじ曲がり、二人は連続した平面上を歩くかのように離れた空間へと移動する。
街の夜景は遙か下方。
一際高い廃ビルの屋上の上、ライフルをかつぐ黒服の男がそこにいた。
目視と同時に部分移動した澪の腕がスコープを叩き落とす。

「そんなトイガンじゃ殺せねぇよ」

見晴らしの良い屋上が罠を張るのに適しているのは敵方にとっても同じことだったようだ。闇に紛れた気配のいくつかが二人と、彼らと対峙する男を取り囲んでいた。

男は無言で上着の内側からつり下げていたホルスターからあらたな銃を抜く。

「だから、あたんねーって」

所詮ノーマルがエスパーに、ましてパンドラに適うはずがない。

足元ぎりぎりを正確に狙い、跳弾した空の薬莢が小気味良い音をたててコンクリートを転がったのを横目で睨みながら葉は緊張感のない声で揶揄した。
救援が到着するまでどうこの男を引き留めようか、と悠長に考えていた葉は、そもそもなぜ待機している真木達がここにいないかということにも、考えが及ばないでいた。

が、そんな余裕も長くは続かない。
跳弾した足元からじょじょに広がる違和感。

「ふん、さすがに気付いたか。これは極々小型の新型ECMをコーティングした特殊弾だ。たった数分だがもうおまえは空も飛べないし、力を使うことも出来ない」

黙りを決め込んでいた男が初めて発した言葉は、葉にとって屈辱以外の何ものでもなかった。

パンドラやバベルとの接触を避けるように、闇に紛れて比較的力のないエスパーばかりを狙う集団に、自分たちが遅れをとるなんて思いもしなかった。

(――まずいなこりゃ)

しかし諦めるわけにはいかない。ここには守るべき子供がいた。
幸い、後にかばった澪はECMが撃ちこまれた地面から離れていた。

「おい澪、一人でならギリギリでここからテレポートできるな」
「でも――」
「帰って、少佐に知らせてくれ、頼む」
「わ、わかった…!」

普段より幾分ノイズが濃くなった振動音と共に澪が消え去った。
翼がなくなったって走ることは出来る。ここから僅かでも離れさえすれば再び飛べるようになるはずだった。

「ガキの方は逃がしたか……まあいい」
「ハッ!てめぇは逃がさねぇよ!」

背後から聞こえる男の声は、獲物を狩る高揚のためか幾分高い。
足を狙う弾がためらいなく撃ち出された。空薬莢がコンクリートに落ちる音と発射音が交互に危機を奏でる。

(足を捨ててもいい、もうちょい離れれば――飛べる)

よろめきながら足を狙う嵐のような銃弾を避けた葉は突如劈くような叫び声をあげた。

「ぐ、ぁぁ!!!!!!!」
「生憎だがこっちもただの弾じゃない。特製のスタン銃だ。打ち込まれた電撃は聞くだろう?」

侮蔑に満ちた薄ら笑いも、徐々に消える意識の淵には届かない。
ばたりと地面に倒れ伏した葉が最後に認識したのは、全身をかけめぐる軋る筋肉の苦鳴と、鈍く吹き荒ぶビル風の鳴き声だけだった。






――――


  キズナ
Kids Nap―誘拐―





ちなみにタイトル、Kidnapは「誘拐」という意味ですが、kidsというふうに複数型の造語にしてみました。
バベル側のチルドレンにたいして兵部サイドはKIDSってイメージがあるなあ。
ぼちぼちつづきます。鬱展開ですが最後はハッピーエンドです
 

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