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ひさびさに真木兵!
いや、あんまカップリング色ないですけど。
ついでにヤマナシオチナシです。そしてめちゃ短いです。
明日ひさびさのサンデーだと思うとそわそわがおちつかない!
『子供をめぐる冒険』
敵対組織潰しという趣味と実益を兼ねた散策から帰ってきた兵部は、首尾良く事が運んだのかいつになく上機嫌だった。真木はいつものように、おかえりなさい、と本拠地と外部を繋ぐ入り口まで出迎えた。
「真木、お土産」
兵部は何かを投げて寄越した。
「わっ。って、なんですか」
「あかんぼう。育ててくれる?」
「えええ?!」
落とし物か何かのようにそれこそ犬猫を拾って来たような無造作なそぶりで腕に渡された暖かい重みは、紛れもなく人間の子供だった。
「ど、どうするんですか」
聞くまでもない。ここには、そういった不遇の能力者(主に自力では生きていけないか弱い子供)が数多保護されているのだ。赤ん坊と言っていい程度のその子供は騒ぐでもなく大人しく真木に抱かれていた。指をくわえて、じっと澄んだ瞳で見つめるしぐさは純粋そのもので、真木は思わず目尻をさげた。
「とりあえず、俺じゃなく紅葉など女性陣に」
「こいつさ、おまえにちょっと似てないか?」
相変わらず人の話を聞かない兵部は、可愛いなあなどと暢気なことを言いながら近づくと、幼子にあやすように微笑みかけた。
「はぁ、そうでしょうか。いや、確かに、んん?」
自分の幼い頃は、少なくとも兵部に拾われる年齢のころにはもう充分に世の中の悪辣さを知り汚れきっていたはずだった。その頃の自分を思い返してみても、目の前の天使のような幼児には面影が重ならないような気がして首をひねった。兵部は暖かい弾力を確かめるように、子供のやわらかい頬に指を伸ばした。
「うん、僕が言うんだから間違いないよ」
それとも、兵部の目にはそんな風に映っていたのだろうか。自分では、嵐に負けないように肩をいからせ、汚れた空の下で息を張り詰めていたつもりでも、この何十年と生きてる老獪な子供の前では虚勢にしか見えなかったのかもしれない。
「あ、笑った。そうだよ、君はもっと笑って、うんと幸せにならなきゃいけないんだ」
にこりと笑う子供に負けないくらい柔らかな笑みを浮かべる兵部に、見てはいけないものを見た気がして真木は視線を外した。
「少佐は見かけによらず子供好きですよね」
「真木に言われたくないなぁ」
むっと顔をあげた兵部は、いかにも威厳を取り繕うとしている様子だったが、真木の腕に抱かれている子供に手を伸ばしているので、真木は、兵部にしがみつかれているような錯覚をもたらされただけだった。
気紛れな兵部は現れた時と同じように唐突と姿を消すと(たぶん、何か美味しそうな匂いにでも誘われたのだろう、ちょうど昼時だし)、真木は赤ん坊を抱えたまま立ち尽くすことになった。
とりあえず部屋に連れていこうとデッキを歩いていると、アイスバーをくわえた葉と通路ですれ違った。
「お。その子どうしたの?見ない子だけど」
「少佐が連れてきた。世話を任されたんだが」
「へー。またちっちゃい子拾ってきちまって。少佐のロリコンには困ったもんすよねー」
さすがにこれをロリコンというのはどうなんだ、と真木がうなだれる。葉は念動力でふわりと赤ん坊を引き寄せると、無造作に高く放りあげた。
「葉、もっと丁寧に扱えっ!」
「だーいじょうぶ、な?」
葉は手の中にすとんと落ちて来た子供に笑いかける。まさにその言葉通りで、子供はキャッキャと機嫌の良い声をあげた。なるほど、子供の扱いは葉の方がうまそうだった。
「ねーねー、この子ちょっと真木さんに似てない?」
「ああ。自分ではよくわからないが、少佐にも言われたな」
真木はじっと子供を見つめると、なるほど、確かに通じるものはあるような気がする、と納得しかけた時、葉がとんでもないことを言った。
「隠し子とかじゃないんすか」
「ぶっ……な、なんだそれは」
思わず吹きだし、挙げ句舌を噛みそうになった。
「いや、だから真木さんの隠し子」
葉はその不穏な単語をもう一度繰り返して言ってのけると、しかし腑に落ちないといった様子で首を捻った。
「そんなわけないか。真木さんの子供なら少佐にも似てなきゃおかしいもんな」
同意しがたい突飛な理論に真木はさっきの倍は声を跳ね上げた。
「な、なんでそこで少佐が関係してくる!だいたい男が子を産めるとでも?!」
「やだなー。冗談っすよー」
なんだその棒読みは、と真木は葉を睨むが、葉と子供は示し合わせたような笑顔で笑うだけだった。
――――
いや、あの本誌の子守りのところで少佐の抱いてる子が真木ちゃんに似てたよね、ってだけの話です^^
そして真木ちゃんの抱いてた子は葉に似てたし、なんか紅葉に似た女の子もいたな!
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