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☆こちらは絶対可憐チルドレンの私設ファンサイトという名の妄想垂れ流し二次創作サイトです。 ★原作者・出版社・テレビ局・アニメ制作会社等とは一切無関係です。女性向け、腐った妄想垂れ流し注意。☆少佐と愉快な仲間達(幹部3人)を愛でるサイト。葉の可愛さにやられた。兵葉推進してますよ!妄想CP:真木×兵部、真木×葉、兵部×葉、葉×兵部、幹部と少佐を愛でたいです。葉受けが好きかもしれない。何あの可愛いツンデレ。
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葉祭り9日目!


ふじうらようくん12さい


クローバー 3まいめ

拍手[1回]







「少佐ぁー、どこ行っちゃたんすかあ」

あっちをふらふら、こっちをふらふら、12,3才の少年が空を彷徨っている。
眩しい夕焼けに手をかざしては光化学スモッグにゆらめく遠くのビルの蜃気楼に眼を細め、また反対側の湾岸へと飛び立つ。風に薄手のパーカーがはためき、いかにも気持ちよさそうな空中散歩に見えたが、眉を顰めた少年の顔は真剣で、焦っているようにも見えた。

「どうしよう……」

葉は繁華街に置き去りにされた子供のように空に佇み、また気を取り直してはあちこちを探す。
ふと、懐かしい気配に振り返ると、しかしそこに居たのは巣に帰る途中のカラスの親子で。
葉はがっくりと肩を落とした。

空にかかる大きな虹の橋に眼を奪われている間に兵部を見失ってから、もう2時間程たっていた。
今日は、こっそり三日間だけ抜け出したバベルの監獄に兵部が帰ってしまう日だった。まだ何も言ってないのに、あれっきりまたしばらく会えなくなってしまうなんてイヤだ。

だから葉は、精神感応も使えなければテレポートも出来ない自分の体一つで兵部を捜していたのだが、夕焼けを悄然と見つめる大きな瞳は、今にも涙がこぼれそうだった。

焼け付くようなオレンジ色の夕焼けは、すっかり濃い紫に変わり、どんどん視界が悪くなる。薄暗くなるにつれて足元の夜景はぽつりぽとりと黄色やオレンジ色の灯がともりだす。
ひっくり返した瑠璃色のお椀の中に宝石箱から彷徨い出でた蛍のような灯りが零れる街並みは、いつもだったらとても美しいはずなのに、何故か憎らしくなって葉は叫んだ。

「ワアアアアアアアアアアアアアアアア!」

音波に乗せた衝撃は、見渡す限りの空を切り裂く。
びりびりと震える空気に、あの夕日の向こうに見える黒い山並みから鳥が一斉に飛び立った。

ここがこんな上空でなかったら、足元に広がる普通人たちの生活をめちゃめちゃに破壊してしまったに違いない。飛び散るガラス、根本から折れる鉄塔、逃げ惑う人々。そんなものを想像したら少しだけ気分が晴れるどころか、今度こそ泣き出したくなった。

「少佐、本当に俺を置いて帰っちゃったのかな……」

こんな広い空に一人きり。
、兵部に会えないまま、何も言葉を交わさないまま帰ることはできなかった。「俺はずっとここで待ってたのに、どこ行っちゃったんだよ」ただそう言うために、意地でも肌寒い紺色の空から離れられずにいた。

とっぷりと日が暮れて、右も左もわからない闇。生憎今夜は月も出ていなかった。
生温い風がぞっと頬を撫でる。葉の眼には、一寸先の自分の手さえ見えなくなっていた。遠近感覚を失った眼下の夜景が、銀河のようにも見えてくる。バランスを失い1度宙でさかさまになると、もう上も下もわからない。

心細さと恐ろしさは半々、といったところだ。何度も涙は滲んだが、泣くことはせずにぎゅっと拳を握る。
今泣いてしまったら本当に兵部に会えなくなるような気がした。
だからかわりに、

スゥ、と息を吸い込んだ。

「アー、アー」

歌ともメロディーともつかない高音の羅列は、風にのってどこまでも響く。

「アー」

高音の震動、つまり超音波が葉を中心に波紋を描く。コウモリが音波で探査するように、暗闇に波紋がわななき広がる。歌ともつかない歌を唄い、寂しげに宙を漂った。風を蹴り、くるりとターンして、泳ぐように浮遊する。

そうしているうちに、視界の隅に銀の閃光がきらめいた。

少佐!と叫んで葉は振り返ったが、流れ落ちた星屑の軌跡にすぎなかった。
また葉はしょんぼりとうつむく。しかし、

「葉の声、ここまで聞こえたよ」

ずっと聞きたかった優しい声が頭上から振った。
銀色の、流れ星よりも鮮烈な光。

「みーっけ!」

見間違いかと目をごしごしと擦る。だがすぐに嬉しそうに声をあげると風を切ってジェット機のように加速した。

「少佐、俺、探したんだよ!」

その勢いのままぎゅっとしがみつくと、体当たりみたいになってしまった。兵部以外の人間だったら怪我をしてもおかしくない衝撃だったが、兵部は反動で兵部が体勢をくずしかけただけでそのままくるりと宙返りして少年を受け止めた。

「ごめんね?バベルの連中が僕がいないの気付きそうになったから急いで細工しに戻ったんだ」
「じゃあ一回バベルに行って、またここに戻ったの?」
「そうだよ。まだ君たちにお別れしてないからね。でも、ここで待っていてくれるとは思わなかった。寒かったろ?」
「ううん、ぜんぜん!」

兵部が左の頬にキスをすると、葉は年相応の子供らしい笑みを浮かべ、兵部の右の頬に挨拶のようなキスをした。

「さて、僕はもう行くね」
「ねえ、少佐。次はいつ帰ってくる?」
「わからないけど…なるべく早く帰ってくるよ。それまで待てるかい?」

夜空よりも濃く溶けた闇色の瞳にじっと覗き込まれ、葉はこくりと首を振る。

「もう行っちゃう…?」
「家までは送るよ」

兵部は葉の手を握った。
最初にその手を取った時よりも、だいぶ大きく力強くなった子供の手の平。
一瞬で家まで辿り着くテレポートではなく、家までの旅路を星空を散歩するようにのんびりと飛行する。
また一つ、空を銀の流れ星が駆けぬけた。






クローバー 3まいめ



 ――――――


このシリーズはだらだらしすぎてほんとに山もオチも意味もないなあと自分でも思います。
何考えて書いたんだ自分orz まああと一つなんでよかったらお付き合いください。
お気に召したらぽちっといただけたら嬉しいです
 

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