[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
夜も更けて、そろそろ少佐がやってくるだろうかと二人分の紅茶を淹れていたら案の定にこにこと彼がやってきたのでいつもようにそっと部屋に招き入れて、なんやかやあって、色々。
最初は茶を啜りながら他愛もない雑談などしていただけだが、目があって、会話が途切れて、気まずい空気が生まれて、少佐の纏う笑みに意地の悪さがくわわって、そうすればもう情けない程いつもの流れだ。
「しよ?真木。僕、もう我慢できないんだけど」
「いつあなたが我慢なんてしましたっけ」
大きめのティーカップをテーブルに戻し、少佐に向かい合うように体をずらすと、少佐は、こてんと頭を預けるように俺の胸によりかかってきた。銀の髪を梳くと、清潔な石鹸の匂いが鼻をくすぐった。見上げる彼と目をあわせると、頭の奥が痺れそうになって慌てて視線をずらした。
「今さら照れるなよ。脱がせて」
「ここでしますか。それともあちらで?」
あごを向けてベッドを示すと少佐は腕を背に回してぎゅっとしがみつく。向こうまで運んでほしい、という意味に受け取り、常に隙なく調えているベッドまで運ぶ。頭を打たないようにゆっくりと降ろした。
枕に流れる銀髪が、恥じらうように顔を背けて揺れたのは、多分俺の願望による見間違いだ。羞恥に絶え入ることがあるとすれば俺のほうだろう。いくら体を重ねても、少佐を本当に満足させることが出来たのか自信がない。
「真木?何変な顔してるんだよ?」
「……あ、いえ。すみません」
浴衣とバスローブのどちらも似合う彼は、今夜は淡いグリーンのパジャマを着ていた。ホックを一つずつ外し、ゆで卵の殻を剥くようにするすると布をはだけさせると、風呂上がりの上気した滑らかな肌が現れ、思わずかぶりつきたくなる。
薄い色の唇も、今は体温が上がってるせいかしっとりと赤く色づいている。誘われるよう舌で唇をつつくと、少佐はすぐに迎え入れてくれた。
「ぁ…ふっ……」
長くキスをして苦しいのか、もがくように揺れる指先を捕まえ絡ませると、細く白い手はひんやりとしていた。なのに咥内は驚く程熱い。と思っていると少佐の手が俺の背中の髪をぐっと鷲づかみに引っ張る。
「はっ……おまえ、しつこ……いっ!」
顔を真っ赤にして肩で荒く息をする様子は、可愛い。
普段怒りや焦りを顕わにする時だってめったに相貌をくずさない彼がこんな表情で怒るのは、恐らく自分だけだろうと想像すると自惚れながら悪い気はしなかった。
宥めるように頭を撫でる。もちろん、そうすると少佐がもっと機嫌を悪くするというのはわかっているけど仕方がない。敬愛する少佐を侮るわけではもちろんないが、こちらが余裕を見せると悔しそうな顔をして目尻に涙を浮かべるのは、見飽きない光景だ。
「少し、意地悪をしてもいいですか」
耳元で囁くと、ひ、と小さく息を呑む吐息だけが耳を打った。
「……真木のくせに。何考えてるんだよ」
「そうですね、あなたを満足させることを」
にっこり笑って見せると、今度こそ少佐の顔が真っ赤に染まった。
意地悪をする、と宣言したところで所詮自分に出来ることはそう多くない。人をからかうのも翻弄するのも育ての親に敵うはずはないのだ。だから、外したネクタイでゆわえた手首の結び目だって、少し本気で暴れれば外れるほど緩い。
「これ、外せよ……っ!」
いつもと違う俺の暴挙に―少なくとも少佐の目にはそう映ったに違いない―少佐は声を上擦らせる。彼を傷つけるつもりはないし、まして反旗を翻すつもりでもない。
「俺はあなたの命令に従うしかありません。あなたがもうやめろというなら、仕方ないですね。やめますか?」
「こ、の……っ!!」
唇を指でなぞりながらゆっくりと言い聞かせると、少佐は顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で睨んだ。
そんなことをしても意味がない、どころか、ますます煽るだけだというのを解っていないのだこの人は。
少佐が一言本気で拒絶すれば、俺はそれ以上は強引に推し進めたりはしない。プライドが無駄に高い少佐にすれば、この無言は了承に違いないと判断する。
「良い子ですね」
「……あとで覚えてろよ」
そうして頭を撫でると、見かけの年齢差も体格差もこんなにはっきりしているので倒錯してしまいそうになる。まるで、本当に年端のいかない子供に無理を強いてるような。しかしそんな他愛の無い空想よりも、育ての親にこんなことしてるという事実関係のほうがよほどアブノーマルなのはこの際無視だ。
「く…ぅ、ん、」
赤く色づいた胸の突起を押し潰すように指で弄り、もう片方の手は脇から腹部へのなだらかな直線をさする。そのまま下へ降ろし、わずかにもたげる―でもまだ柔らかい―熱を手の平で包むようにさすった。
指を絡ませ上下にしごくと、すぐに芯がはいって形を変える。硬くなったそこからとりあえず指を離し、足の付け根を、どこよりも白く柔らかいふとももの内側に手を伸ばした。
「はっ……ぅ……」
双丘の奥を探るように窄まりに指を這わせると、ひきつったような呼吸が繰り返し、浅く耳元をくすぐる。指を舐めて濡らして、一気に付き入れる。傷つけないように浅く、深く、ゆっくりと壁をさぐるように動かすとじょじょにほぐれてきてきゅうきゅうと食いつくように締まる。
「ぁ……くっ」
唇を噛んで押し殺した声の正体を知りたくて、胸を触っていた指で唇をこじあけると、とめどない喘ぎ声が零れた。
「ひ、ッ……やめ、っ、あん、」
「慣らさないと痛い思いしますよ?」
「そういう問題じゃないだろ、バカっ!」
黒目勝ちの大きな瞳には、俺自身が映し出されていた。瞳を覗き込むと、そこには、もっと浅ましい欲に塗れた自分が映っているのかと思ったら、意外なほど冷静な能面を作っていた。
「も、いいから、早く……っ」
「早く、……なんです?」
欲しい、と微かに囁かれた吐息だけで充分だった。
体をひっくりかえし子犬のように四つ這いにさせ腰を高くあげさせる。
挿入しやすいように双丘を割り開くと、羞恥のせいかびくりと大きく震え上がるのが伝わった。そのくせ、ひくひくと物欲しそうにうごめいている。
「は、……っ…あっ」
随分慣らしたつもりだったが、先端を押し込むだけでもかなりの抵抗にあう。
張り詰めた呼吸が治まるのを待って一気に一息に突きいれると声にならない嬌声が流れる。
「く……んっ…ぁ、……」
後ろから覆い被さるようにして、歯列をわるように指で咥内をまさぐり、反対の手は、ぴたぴたと雫を溢して腹を打つ陰茎を握り込んだ。ぴちゃぴちゃ、くちゅくちゅと水音がするのはもう、上と下のどちらから聞こえてくるのかわからない。
「気持ち良いですか?」
「ん、は、ぁ……あっ…、ひっ」
問いかけにも、意味をなす言葉が返ってこない。
自分から誘うわりには快楽に弱すぎる体は、すぐに限界を訴える。無理をさせたくはないからそれ以上引き延ばすことはせずに、先に弾けそうな陰茎を擦り手の平に白い熱を全て出させ、少し遅れて俺自身も限界を迎えた。
皺になったネクタイを外す。
ハァハァと、荒く息をついてぐったりと仰向けに横たわる少佐は、足の間と腹に、二人分の精液を伝わせていた。扇情、というよりはいっそ「惨状」と言ったほうがいい痛々しい眺めに、やり過ぎたかかと頭を抱えた。と、その時少佐がふるりと睫毛を震わせ目を開けた。
「…ぁ…、真木は、い……のか?」
「え?」
「っ…!おまえは気持ち良かったのかと聞いてるんだ!」
少佐は荒く息を吐きながら叫ぶように言った。
「当たり前なこと聞かないでくださいよ。あなたを抱くたび幸せすぎて死んでもいいと思っているのに」
「よくそんなことを恥ずかしげもなく言えるな、おまえ」
心底呆れた、というように見上げられる。赤くのぼせた頬には汗と涙がうっすらと伝ってはいるがその不遜な眼差しはまさしく兵部少佐だ。まさしく、「死んでもいい」と思ってしまう刹那の幸福。死因はおそらく恋に溺れた溺死だろう。
少佐に告げたら、「そんなに言うなら腹上死させてやろうか」と眠そうな声で一笑に付された。
いずれにせよ。
あなたの傍らで死ねたら俺にはこの上ない幸せです
と、ずっと昔まだ幼い頃に堅く誓った決意をもう一度心の中で繰り返した。
――――――
次は何にしようかな!
お気に召したらぽちっといただけたら嬉しいです。
ややマイナーっぽいとも言える真木×兵部のカップリングが大好きなので、こちらの小説を何度も読んで悶える日々です…。
濃いキスを「しつこい」と言われる真木さんや、どこまでも鋼の理性を持ってるけど結局少佐の誘惑には抗えない真木さん…最高ですね!
真木さんの一人称小説は男の色気が漂っててかなりドキドキさせられました!
8月は葉祭りとの事ですが、たまには真木兵も紛れこませて頂けると嬉しいな~と思います。
これからも頑張って下さい~!
そしてはじめまして、ありがとうございますv
真木兵はマイナー…いやいやそんなことありませんよ素敵サイト様いっぱいあるんだぜ!葉受けにくらべたらマイナーじゃないよ!でもこんな拙宅をお気に召していただけて嬉しいですvありがとうございますー!画面の前で小躍りしちゃいますよ!真木さん一人称は結構難しいですwあの人クールぶってるから!クールじゃないんだよ、きっとクールぶってるだけですよ彼はw真木さんの色気いいですよねー男くさい真木さんがもっとみたい!あと真木さんはやれば出来る子だと思う。意外と性欲もあって男くさいといいなー。ふだんは少佐に服従してるしヘタレっぽく見せてやるときはやればいいとおもう!まあ誘う少佐がいけないんですよ!いいぞもっとやれ。
8月はそうですね、じゃあ真木兵もぼちぼちいれてみます!コメントも感想も、すっっっっっごく嬉しかったです!ありがとうございましたーー!そゆわけでよかったらまた見に来てやってくださいませv