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☆一個下にサンデー感想☆
今週のやりとり見たら、想い合ってるのに立場上言葉少ない真木兵とかいいなーと思いました。
あの「いいえ?」が反則すぎるんだよちくしょう!!!
とゆーわけでそんな感じの真木兵です。
「こいつらの苦しむ姿は悪くない」
「心配する義理もない」
「助けてやる義務もない」
彼はいつもこんな言葉で自分で自分に言い訳をする。
Heel & Feel
「こいつらの苦しむ姿は悪くない」
「心配する義理もない」
「助けてやる義務もない」
彼はいつもこんなふうに自分で自分に言い訳をする。
言葉で律し、理性で縛る。最高の悪役(ヒール)を演じる彼は、そのくせ誰よりも繊細な感性と憂える魂を持っていた――たとえ誰に理解されなくとも。
孤高の道を独り進む彼の行く先を守ることこそが、真木の本懐である。
――とはいえ、この展開は予想だにしていなかった。
「何を赤くなってんだ、真木?」
「……いえ、別に。少佐こそ何をしてるんですか何を!!」
これ以上ないほど近い距離で小首を傾げる兵部の微笑みに、真木はドギマギと視線をそらす。確かに兵部のいうとおり、赤くなっていたかもしれなかった。しかし、問題はそこではない。
彼が突拍子のない行動に出るのはいつものことだが、だとしてもあんまりすぎる。
真木は、そろそろ休もうかと誰もいなくなった深夜のラウンジでタイを緩め持ち込んでいたノートパソコンの電源を落としていたところだったのだが、バタンと大きな音を立てて兵部が現れたかと思うと、すたすたと広いラウンジを突っ切り、のびあがるようにして腕を回され、ぎゅうぎゅうと抱きしめられるなんて。
思わず真木も抱きしめ返そうとしたが、なんとなく室内灯の明かりに憚られて真木は行き場のなくなった両手をあげた。お手上げ、というように。すると兵部は、とん、と真木の胸に額を押しつけた。
「勘違いするなよな!これはただぶつかっただけなんだからなっ!おまえみたいな図体のでかい男がうろついてると邪魔なんだ」
(ええっ。俺ここから動いてませんけど?!)
とはもちろん、言わない。真木は苦笑すると
「それは失礼しました」
と頭をさげた。
「……フン」
兵部はぱっと真木から離れると目を眇めた。
「今日はどこにいたんだ?僕は何も指示していなかったように思うけど」
「ああ、マッスルに援軍を頼まれたので」
「大使館のか」
「彼もなかなか優秀ですが人員が不足しているのはどうしようもないようですよ」
だから、今日は1日船を空けていた。彼の元を離れていた。兵部の言うとおり、特に言いつかった用事もなかったので大使館の仕事を手伝っていたのだった。マッスル一人でも問題のない会合だったが、大使が一人で切り盛りしているというのも具合が悪い。秘書にしても補佐にしても、対外的に配置するには真木が一番都合よいだろう。
しかし、そのせいで本来尤も蔑ろにされてはいけない兵部の元を離れたことになってしまう。もっとも用があったら兵部の方から呼んでくれるだろうし、いちいち干渉されるのが嫌いな兵部が、逆ならまだしも放っておかれて怒り出すことなど今までなかったのだ。
(いやしかし)
怒っているのではなく、拗ねているのかこれは?!
真木はあまりみたことのない兵部のぷりぷりと頬を膨らませた顔をまじまじと見る。
「すみません……、緊急の用でもあったのでしょうか」
紅葉や葉は何をしていたんだ、と内心歯がゆく思う真木を尻目に兵部は言う。
「久々に皆本のとこに遊びにいくつもりだったのに君、いないんだもん」
ああ、それならば自分でなければつとまらない。
真木は有り難いような有り難くないような信頼に天井を仰いだ。そういった類の兵部の気紛れに付き合えるのは自分だけだ。葉なら共に際限なく(時には兵部がヒくくらいに)嫌がらせをするだろうし、紅葉ではクールすぎる。
「明日お供します」
二度と許可無く離れない、だとか浮ついた言葉はきっと否定される。真木に許されるのは端的な言葉だけだった。それでも兵部は満足したのか、表情を和らげるとくるりと真木に背を向けた。
その思ったより細く頼りない肩を真木は後ろから抱きすくめた。
「ですから、今夜はもう休んでください」
耳元で吐息を流し込むように囁くと、兵部は真木に負けず劣らずの掠れた声で「仕方ないな」と小さく頷いた。
――――――――
彼は決して自分に答えをもとめない。
今だって「今夜はもう休んで下さい」と、ごく自然にベッドへと運ばれた。
優しい視線に見下ろされ、服を脱がされ、その時だって彼は何も言わないのだ。
兵部は自身を組み敷く真木と、その向こうの天井をぼんやりと見上げながら思った。
こうやって情を交わしている今だって、彼は決定的なことは何一つ言わなかった。
「んっ…ン、ん……、、…ぁ…」
「手を噛まないでください、少佐。傷がついてしまう」
口に押し当てた自分の手の甲を、思わず噛んでしまった兵部の手を真木はそっととり、乱れたシーツに縫い付ける。自由になった唇からはとたんに掠れた喘ぎ声が溢れだした。
「あぁっ、まぎっ……い、ぁあッ、まぎ、」
声が漏れないように、今度は必死で唇を噛みしめる。
そうでなければ、聞くに堪えないことを口走ってしまいそうだった。
せっかく、彼が何も聞かずに、何も言わずにいてくれるのに。
最初に我慢が効かなくなるのは、いつも自分の方なのだ。
「はぅ……やっ、まぎ……ん、んんっ」
必死に声を殺す兵部に、真木は微笑んで声ごと唇を奪った。
これなら言葉は漏れないし、兵部が唇をかみ切って血を流すこともない。
「ぁう……くっ、んあ、あん、」
あわさった唇の端からしとどに唾液が伝って枕を濡らした。
キスをしたまま、下肢も繋がっていたから兵部の息はあがる一方だった。
「はっ……ま、ぎ……」
「なんです?」
唇を離されると、兵部はつい言ってしまいそうになった。
「もっと」とか。「気持ちイイ」だとか。
あまつさえ、「愛してる」なんて言えるはずがない。言って許されるはずがない。
「………」
真木は聞かずにいてくれるのに。
決定的なことは何一つ言わず、決して兵部を追い詰めず、そのくせ誰よりも暖かく見守ってくれる。
だから兵部も言葉なく腕を回した。ぎゅうと手を回すと汗とシャワーで湿った真木の長く柔らかい癖毛が指をくすぐった。
「まぎ…」
ありったけの想いをこめて名を呼ぶと、正確に伝わったのだろうか、真木はこれ以上ないほど満足そうに微笑んだ。それを見て兵部も安心する。
自分は彼の養い親だから、同性だから、年も孫ほどに離れすぎているから――
欲情するなんてありえない、あってはいけない。
まして愛してしまうなんてありえないのだ。
目尻に溜まった涙が、兵部が瞳を伏せるのにあわせてつうと頬を流れる。
真木は落ちた雫を舐めとるように眦に唇を寄せた。
「あんたの涙は苦くて辛(から)い」
「……あたりまえだろ」
苦いのも、辛(つら)いのも、わかりきっているのに言葉に出来ない。
真木が口にしたら兵部はきっと困ってしまう。そして否定してしまう。だって、こんな関係はありえないのだから。
だから互いに何も言わない。
それでも触れ合っているこの熱だけは、まがい物のような世界の中で唯一の真実だった。
Heel & Feel
――――――――――
今週の本誌見て、兵部さんが実は自由奔放に見えて自分の立場を気にしてやりたいことが出来ず、言い訳ばっかしてるのかなと思って萌えたぎった結果がこれだよ!兵部さんが立場上告白したら断るだろうことを見越して決して何も言わない(でも両思い)みたいな真木兵いいなーと思いました。
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