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連続で短いの更新しようと思います。
またもお題借りてきました。→リライト様
これ内容的に兵葉にしようと思ったんですが、ボスを筆頭に真木ちゃんも紅葉も澪もマッスルも全員向こう見ずな気がしたんでパンドラファミリーってことで。
カプは兵葉だったり真木兵だったり色々です(のはず)
本誌感想は一個下と二個下
ではどうぞー
向こう見ずな10の危険
→1ハイリスク・ノーリターン
きょろきょろ、そわそわ、時折立ち止まってはあたりをぐるりと見渡して、またゆらりと風にとけこむ。
羽根もなしに(人間に羽根が生えてるはずがない)、夜空をふわふわと頼りなげにさまようその姿は、繁華街の交差点で親を見失った子供のようだった。
子供の頭上を流れ星が一つ、きらめいた。
紺色の絵の具を溶かしたような闇夜に同化する黒い学生服の養い親の姿を見つけ、迷子の子供はぱぁっと顔を輝かせた。
「なーにやってるんすか、こんなところで」
葉が手をふり声を張り上げると、兵部はむっと顔をしかめた。
「今日は迎えはいらないって伝えてあったはずだろ」
「つってもねぇ。しょうがないじゃん、アンタすぐ独りでどっか行っちゃうし、あ、これじゃあジジイっていうより門限守らない不良みた――」
「どの口がそんなこと言うのかなー?んーー?」
兵部がぐにぐにと頬をひっぱると葉はもごもごと咽せ、身をよじってくるりと空中で一回転すると、兵部から距離を取った。
さっきまで泣き出しそうな顔で親を探していた迷子の子供はもういない。
ぶーっと頬をふくらませてじっと兵部を睨んだ。
「ジジイ、怪我」
「ん?してないよ?」
ぶっきらぼうな口調に責められ、兵部は自分の体を見下ろすように首をひねったり学ランをひっぱる。
「じゃあいい」
ぷいっと顔をそらし、葉は月に向かって泳ぐようにふわりと水平飛行する。
兵部はテレポートして葉の前に先回りした。
ばかみたいにまん丸な、月を背負った兵部が葉を見下ろす。
「なんだ、心配してくれてのかい?」
「そういうわけじゃないっすけど」
「大丈夫だよ、国防省は何度も潜入したところだし、ほら、機密データもこのとおり」
兵部はふところから一枚のディスクを取り出して葉にかかげた。
「だからってさ。俺か、真木さん連れてけよ!マッスルだって紅葉だって、俺ら今日体空いてたんだぞ?!」
「悪かったね。でもあそこに侵入するには馴れた僕一人のほうが都合よかったから」
そういうと葉は少しだけ怒りを納めたようだった。
兵部はやれやれ、と肩を竦めると、にっこり笑ってご高説を垂れた。
「それによく言うだろ?ハイリスク・ハイリターン。虎穴に入らずんば虎児を得ず。ってさ」
「年寄りの冷や水って言葉知ってる?」
負けじと葉もにっこりと。
端から見れば夜空に漂ったまま微笑みあうおかしな子供が2人だろう。
だがあいにく普通、夜空に一般人は居ない。
「言ったなコラ!」
「わ、ちょっとタンマ!!」
だからもちろん、空中でいきなり派手なESP戦を繰り広げても被害はたいしてないのだった。
ハイリスク・ノーリターン
(憎まれ口を叩いて火傷を負ってちっとも報われなくなって。アンタが無事ならそれでいい)
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