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☆幹部子供時代ねつ造注意
真木17,葉10才くらい?
――――
――「無茶しないでください、少佐」
――「ふん。このくらい無茶なものか。無茶っていうのは……ああいうのをいうんだ」
――兵部は溜息をついて、傷だらけでうずくまる少年を指で示すとテレポートで音も無く部屋を出て行った。
『誘い水』
壁に向かってふてくされる子供が一人と、それより少し年上の、髪の長い男女。
「ねえ、なんであんなことしたの?」
小さく背中を丸める葉に、紅葉は声をかける。
腕を組んでそっぽを向いて。素っ気ない声は、しかし、紛れもなく親愛の情がこもっていた。
「俺はもう子供じゃねー」
「ふん……わがまま言ってるうちはガキだわ」
とはいえ、本当にただの子供じゃないのは見れば明らかだ。重力に逆らってふわりふわりと浮いているし、感情の暴発か、周りには念動力によって本や食器が竜巻のように巻き上がっていた。
「だから……一人でも戦える。少佐についてく」
「それでノーマルに喧嘩うって、返り討ちにあって少佐の手を煩わせたってわけね?」
浮遊した植木鉢が、紅葉を目がけて飛来した。紅葉がそれを手で止める前に真木の炭素結晶が受け止め、元あった場所に戻す。
部屋は何事もなかったのようにまた静まりかえった。
「今夜、少佐はまたバベルのエスパー収容所に戻る」
「わかってるさ」
「寂しいのは皆同じだ。お前が困らせてどうする」
真木がいうのは正論だ。兵部は時折はこうして抜け出してくるとはいえ、『表向き拘束されているほうが目立たない』という理由で自ら刑務所に入っている。それを心細く思うのは、見かけだけは兵部にようやく追いつき追い越した真木にとっても同じだった。
「だって…」
「言いたいことがあれば少佐に直接言うんだな」
「い、いやだ!それに、もうあいつここにはいないだろ?」
「残念、まだいるさ」
ひゅん、と空間が切り裂く音がして、兵部が現れた。
「おや、お早いお帰りで」
「バカ、これから行くんだよ」
兵部は苦笑すると、ふわりと葉の元に飛んだ。
「な、なんだよジジイ……早く行けよ」
葉は視線を逸らせ声を上擦らせる。兵部はにっこり笑うと葉の頭に手を乗せた。
「言いたくなければこれで聞いてあげるよ」
「透視るなんてずるい!」
「だってこうでもしなければ葉は素直にならないじゃないか」
頭に乗せた手を滑らせ、親が子供をあやすように頬を撫でる。
「このエロジジイ……」
「へぇ、どこで覚えたのかなぁそんな言葉?」
その様子は、表面上は牽制しあってるように見えた。
が、また真木と紅葉には二人が精神感応で葉が自分の言葉を兵部にちゃんと伝えていることがわかっていた。
「……これで、いいっすか」
葉はほんのり頬を赤らめ、兵部の指から逃れるように身を捩った。
「うん。おまえが僕のこと、好きでしょうがないのは充分伝わったよ」
「んなことは言ってねぇ!あんた最低だ!」
「アハハっ」
ひゅんひゅん、とまた部屋のものが振動波により飛び散る。
兵部はひとしきり腹を抱えて笑ったあと、真面目な顔をして振り返った。
「紅葉、真木、今夜はこの子についててやれ」
「……了解」
「しかたないわね」
苦笑する二人の返事を聞くやいなや、兵部は消え去ってた。
「じゃ、まずは手当てしちゃいましょ?」
「で、実際のところ、お前少佐になんて言ったんだ?」
「……別に、『いってらっしゃい』って言っただけっス」
その言葉を聞き真木と紅葉は顔を見合わせ、じゃしょうがない、と吹き出したのだった。
――――――
葉があんな極度なツンデレになったのは、10年間時々しか少佐が帰ってこなかったからだと思う\(^o^)/真木や紅葉はある程度成長してるけど葉はまだ子供の時に!っていう妄想。
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