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このまえ小ネタで書いた、「少佐の催眠で羞恥プレイな真木兵」に、反応とリクいただけたので書いてみましたー!!
そしてリクにあったシチュを追加してみましたvきみまろさんありがとうございましたー!
ものすごく長くなったので二つに分けます。ひどいタイトルですみませn\(^o^)/
真木さんのしっぽ(前編)
朝の気配に目を覚ます。
もぞもぞと枕もとに手を伸ばして目覚まし時計のスイッチを、まさに鳴り出す1分前に切るのは、腕の中ですやすやと愛らしい寝息を立てている愛しい人の眠りを妨げないためだった。
真木は今朝も兵部よりも前に起きることに成功すると、腕に抱きしめた銀色のつむじにそっと口付けた。
ぅぅ、とかすかにうなって身動ぎする兵部は子供みたいで、意思の強い漆黒の瞳を閉じていると、肌の白さと細い首の頼りなさだけが目に付いた。
いつもの一日が首尾良く始まりつつあることに真木は満足したが、起き上がろうとした時に、なぜか自分の体にいつもと違う「違和感」を感じて眉を寄せた。ただし、何が違うかわからない。腹が痛いとか筋肉痛とかでもないし(兵部の頭を乗せてた腕が痺れているのはむしろ心地よい)、寝不足でも風邪でもない。あえていうなら妙に頭が重い。
頭。
真木は自分の頭に手をやった。
そして感じる違和感の正体。
(これは……?)
「少佐ぁぁあああああああ!」
腕の中の愛しい眠り姫を起こすまいというささやかな誓いを立てたことなど頭の片隅に追いやって真木は叫んだ。一度気を許して眠りにつくとなかなか目覚めない兵部もこれにはうるさそうに目を擦った。
「ふぁ。なんだよ、騒がしいやつだな…」
「こ、こ、こ、こ、こ、」
「は?ニワトリ??」
「これは一体全体なんですか!!!」
兵部の耳元で叫んでいることに気付かないまま真木は青ざめ、兵部の肩をぶんぶんと揺すった。
兵部はうるさそうに枕に押しつけてないほうの耳を押さえ、そして、
真木の「耳」を指さした。
「あぁ、それ?」
「なんです、これ。なんで俺の頭にみ、みみみ耳がぁ!」
「ミミガー?ああ沖縄料理の。あれカリコリして美味しいよね。あ、今夜の夕食それにしてくんない?」
「いや、それはかまいませんけども!ゴーヤチャンプルもつけますけど!なんです、このもふっとした手触りの動物の耳は!」
真木の頭には、本来頭部の側面についている人間の聴覚器官とは別に、可愛らしい犬の耳がついていたのだった。今は真木の心を反映しているのか緊張と威嚇にぴーんと張って立っているそれは、実は彼の豊かで癖の強い黒髪と同じく光沢のある漆黒をしていたのだが当然真木本人にはまだ色までは知る由もなかったのだった。兵部はぽん、と手をうつとまじめな顔をして説明した。
「グレート・デーンの耳だよ。同じ大型犬ならセントバーナードにしようかと思ったけど、この垂れてる大きな耳が可愛いんだよねぇ」
「犬種を聞いてるんじゃありません!なんでこんな……!」
「僕が見たかったから、じゃだめかい?」
「俺あなたの機嫌を損ねるようなこと何かしましたっけ……」
昨夜の夜の営みで何か不興を買うようなことがあったか、と真木は思いをめぐらすが、どんなに大切に大切に愛しているつもりでもいくらでも心辺りはあった。
もはや半泣きで訴える真木の頭を、兵部は柔らかい髪を梳き、(犬)耳の裏をくすぐるようにして宥めた。
「いいじゃん、ヒュプノで犬耳が見えるだけなんだから。他にどこも具合は悪くないだろ?」
「ええ、まあ……。しかしなんのために?」
「僕が見たかったから、じゃダメかい?」
いや、だめだろう。
兵部の催眠は並のエスパーに出来る芸当ではなく、どんなに意識を集中させて本来の身体感覚を取り戻そうとしても頭部に付着した違和感も、実際に手で触れたときの柔らかい感覚も失われない。
しかも、聴覚が倍になったというわけでもなく(もしそうなら日常生活に支障をきたすのだが)、本当に兵部は何をしたかったのだろうと真木は頭を抱えた。
「あとこっちも、似合ってるぜ?」
「……っっ!!!!」
尻を、いや、尻から伸びている長い尻尾を撫でられ、真木は、ひ、と短く息をつめた。
「な……!こんなものまで……!!!」
真木は慌てて布団を剥ぎ、浴衣の合わせから覗く黒く長い尾を確認して青ざめた。
さきっぽが自身の意思に反してふらりふらりと揺れている。
兵部は指を伸ばした。
「どう、くすぐったい?」
「いや…ぞわぞわするっていうか…こそばゆいというか……あまり、触らないで頂きたいと」
「感じる?」
「……というのも違いますが、ああもうなんなんですかこれは!」
実際、尾を触られて感じるのは、性的な快感とは違った、ヘソをくすぐられるような、太腿の付け根を撫でられるような、腋の裏を他人に触られるような、鋭敏な違和感だった。
これは耳よりも問題かもしれない。今は浴衣だからいいが、これではズボンが履けないではないか。
兵部は真木の心中を知ってか知らずか、黒い耳と尾を満足そうに愛撫して微笑んだ。
「思ったとおり、良く似合ってる」
「あんた目がおかしいんじゃないですか?!大の男を捕まえて犬耳としっぽが似合うわけないでしょう?!」
「む……。失礼だな。本当に可愛らしいのに。真木はもともと犬っぽいしほら、その炭素繊維の変形だと思えばいいんじゃないか?尻尾も髪を伸ばせば隠せるだろうし」
「わかりました……。で、これいつまでこのままなんですか」
「うーん……僕が飽きるまで?」
なんで語尾が疑問系なんですか、俺に聞かないでください。
気紛れな上司であり育ての親に思わず心の中でうなだれつつ、まあそのうち飽きてくださることだろう、と真木は思い直した。
それまで誰にもあわずに過ごせばいいだけの話だ。
ドンドン。
と、その時乱暴にドアがノックされて真木は全身を強張らせて素っ頓狂な声をあげた。
朝だから控えめにそれでもひっきりなしにドアを叩く犯人は、
「真木さーん?おっはよー。起きてるー?」
藤浦葉だった。
寝たふりを決め込んでもおかしくはない時間帯。
「出なくていいのかい?」とにやにや笑う兵部の口を強引に手の平で塞ぎ真木は気配を殺した。
兵部の悪戯の件が無くても、この弟に自分の部屋で兵部と一夜を共にしていることはあまり知られたくはなかった。もちろん2人がそういう関係であることは昔からの家族の間では周知の事実ではあるので今さらだが、真木はそれを自惚れるつもりも、兵部とは違うベクトルで内心では大切に思っている葉に嫉妬させるつもりもなかったのだった。
真木が寝たふりを続けていると、ノックの音がようやく収まった。
さすがに近所迷惑に思い至ったのだろう。真木が、ようやく諦めたかと安堵したのも束の間、
「……今日の仕事の資料借りたいだけだから入るよ?」
と控えめな声で囁かれた。
そして、サイコキネシスで内側からかちゃりと鍵が開く気配。
とりあえずいきなり開けないだけまだ分別があったようだが、兵部と枕を並べているところを目撃されるのは避けねばなるまい。
「よ、葉、ちょっと待て!!今持ってく、持ってくからそこで待っててくれ!!」
「ごめん、起こしちゃった?」
ほんとうに、サイコキノとテレポーターは鍵いらずだ。
真木は慌てて飛び起きると、唇に人差し指をあて、兵部に「静かにしててくださいね?!」と鬼の形相で囁いた。
葉の求める資料というのには心辺りがあったからデスクからファイルごと抜き出した。
まったく、普段はやる気を見せないくせにどうして間の悪い時だけ……とぶつぶつ呟いてスリッパをつっかけた。
「あー、さんきゅ、朝早くすんません」
「ほら、これでいいか………うわ!!!」
寝癖がひどいということにしてドアの隙間からファイルだけ出そうとしたがその目論みは一気に崩れ、葉は勢いよく扉を開けた。幸い広い部屋の奥のベッドはここからは死角になっているので一糸纏わぬ姿で眠っている兵部の姿を見られることはない。
が、その兵部の気紛れで頭に犬耳としっぽを生やされた真木にとっては、自身の姿もあまり見られたくないものだった。
「いや、葉、違うんだ、これはだなぁ!!!」
「へ? どしたの、真木さん。きゅうにそんな大声だして」
顔を真っ赤に染め、しどろもどろに言葉を紡ぐ真木を一瞥し、葉は眠たそうにとろんとした瞳を驚きに瞬かせた。しかしそれは、真木の異変に驚いた、というわけではなく、怒鳴った真木を訝しんだようだった。
葉ならば、驚いた次の瞬間には腹を抱えて笑うに違いないのだから。
「おまえ……これを見てなんとも思わないのか?!」
「ぅん?……いや……え……何の話っすか?」
葉はわけがわからない、といった調子で首を傾げ、「あ」と呟くと真木の額に無防備に手を伸ばした。
「具合悪いとか?そういやちょっと顔があか……」
「い、いや、違う!なんでもないならいいんだ!し、しかしだな。俺は今日調子が悪い。なので朝食の手配など各自でしてくれと通達しておいてくれっ!」
「そりゃーかまわないけど……ほんとに平気?」
明らかに様子がおかしい真木にさらに首を傾げつつ、葉は「無理するなよ」とだけ言い置いて扉を閉めた。
パタン、と閉じられる扉。
再び落ちる静寂。
「はぁああああああ」
真木は、長い、長い溜息を吐き出した。
そしてすぅ、と息を吸い込み、にやにや笑う悪戯好きのチェシャ猫が寝そべるベッドを振り返った。
「少佐……どういうことですか……」
「ああごめんごめん言い忘れてた。その尻尾と耳、真木と僕にしか見えないようになってるから安心していいよ」
「……あれ、そうなんですか?」
真木は思わぬ幸運というか恩赦にあからさまに安堵の声をあげて目を瞬かせる。
なるほどそういう話ならばと真木は納得した。
ベッドの中のみでの無礼講というべきか、双方で愛を楽しむためのバリエーションだという話ならば、真木にも理解することは出来た。慣れることは難しそうだが。
しかし、兵部が楽しげに続けた言葉は、さらに真木の想像の斜め上をいっていたのだった。
「うん、そーゆーわけだから、今日一日その姿でちゃんと働くんだよ?」
「わかりまし……え、えええええ!!!なんでそうなるんですか?!」
「今日はチルドレンの様子見と、夕方……っても時差があるからあっちは昼だけど…葉たちと合流して普通の人々秋葉原万世橋支部つぶしにいくから。いやーあそこで最近反エスパーの活動多いじゃん?巻き込まれたノーマルの被害なんて知ったこっちゃないけど、パティが鎮圧にはりきってるし」
「ちょ……ちょっと待ってください…少佐……俺、このまま?」
もはや真木には反論する気力もつきていた。
「いーじゃん。他の人には見えないんだし」
「いや、そういう問題ではなく」
「僕の命令が聞けないっていうのかい?」
「そういう問題でも……」
「よし、じゃーさっそくリビングにいこうか。お腹すいちゃった」
天使の笑みで悪魔の囁きをする兵部。
「真木の作る味噌汁と厚焼き卵好きだよ。でも朝からそんなに食べられるかなぁ」
などととやたら上機嫌にくすくすと笑っている。いつもは絶対朝は起きなくて部屋に運び込んで、いくら心配して頼んでも朝食は食べてくれないのに……と真木は心中で呪う。しかしその満面の笑みを裏切ることは出来ずに、「はい、喜んで」と首筋に唇を落とした。
兵部はしゅんとうなだれる黒い大きな耳と長いしっぽを、愛おしげに撫でたのだった。
真木さんのしっぽ(前編)
――――――
真木さんは少佐が楽しそうなだけで従う価値はあると思う。
後半は真木さんがうんと可哀想な事態になるよ!でも逆転もするよ!(多分)
リクエストありがとうございましたー!
需要があったらそのうち兵葉バージョンも書いてみたい。
お気に召したらぽちっといただけたら嬉しいですv
まさかリクを反映して頂けるとは…!
しかも前後編とは…!
眠り姫兵部さんとかニワトリ真木さんとか…
「今夜の夕食それにしてくんない?」→「いや、それはかまいませんけども!」なんて、兵部さんの問いにはどんな状況でもきっちり返答する真木さんとか…!
これではズボンが履けないではないか…って、変に前向きな真木さんとか…!
なんだか色んな方面に萌が止まられなくて大変でした。可哀想な真木さん出演の後編も楽しみにしています!
ありがとうございました!!
わーいわーいありがとうございます!!
少佐はアレだよ、天然の悪魔っこです。可愛いなーおじーたん。真木さんをからかうことに生き甲斐を感じてればいいんじゃないかな!!って電車の中でふいちゃらめぇえええ( ゚∀゚)彡
えへへ、ありがとうございますvvv
コメント&応援めっちゃ嬉しかったですvvvありがとうございましたー!
お返事遅くなってすみません…!!!そして後半もようやく書けました……ああ遅い……。
真木さんは少佐のお守りのスペシャリストですね、きっと!!どんな時も少佐のことを考えて迅速に対応するけどでもちょっと空回りしてる真木さんは、少佐もボケですがさらにうわまるボケだと思います。ノリつっこみならぬノリボケな真木さん。
真木兵が愛しくてたまらんです!!!
って萌えてくださってありがとうございますすすすす!!楽しくって楽しくて思わずガガ-っと書いちゃいました!でも遅くなってすみません>M<
コメント本当にありがとうございましたー!!
( ゚∀゚)彡(*'ω'*)(*'ω'*)