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真木×兵部。
真木さんはヘタレだからどうがんばっても鬼畜にはなりきれないのですよね…。
でもいたぶられる兵部が見たいよー。しかしあのECMも効かないチート性能な兵部を誰がどうやって落とすというのだorz
悪夢
仄暗い室内灯に照らされる肢体は白く儚く、柔らかなシーツの上で踊っていた。
顔は見えない。
きめ細かい銀髪が、おそらく快楽と羞恥に染まっているだろう頬を覆い隠していた。
か弱い動物のように四つ這いにされ、敷布の上で握りしめた拳は羞恥のためか震えている。
それでも突き動かされる衝撃にあわせるように、時折俯せの背中を仰け反らせていた。
酸素を求めて喘ぐ吐息は耳に心地よく、悲鳴か溜息かあるいは助けを求める泣き声なのか、今まさに少年を支配している男には判別出来なかった。
「い……加減に、しろ、よっ……真木ッ」
予想のどれとも違って、下肢を貫かれたまま少年は振り返り、叫ぶ。
少年を貫く黒髪の男はたいして気に留めたのでも無い様子で、しかし僅かに眉を顰めた。少年に覆い被さり耳の裏に唇を寄せると、何事か囁く。
「……このッ」
すぐに、弾かれるような高い悲鳴があがった。まだ何か言いたげな唇を大きな手で塞ぐと、すぐにくぐもった呻き声に変わる。
「ん、ぁっ、ん、ふ、」
男が指を生暖かい咥内に押し込むと、柔らかい舌が押し戻そうとうごめく。舌の輪郭をなぞると、嘔吐くような苦鳴が聞こえたので、そこでとうとう中断した。
「くっ……はぁっ、こんなことしてどうなるか……はっ…飼い犬に手を噛まれるっ、て、こういうことを言ぅ…のかよ…っ」
緩く開いた唇は収まりきらない吐息を溢す。力の入らない体を支えるように肘をつきシーツに顔を埋め、肩で大きく息をする姿は、どちらかと言うと少年の方が、飼い犬――愛玩動物と呼ぶのに相応しかった。
――――
真木は、まるで映画のスクリーンを鑑賞するように、この背徳的な様相の一部始終を見ていた。
(なんだ、これは)
兵部京介。
それは、真木が敬愛する人間の名前だ。そして今、目の前で痴態を繰り広げる少年の名だ。
それだけだって信じられないのに、少年に触れている(犯している、としか形容出来ない行為を彼は直視したくなかった)のが自分だというのは天地がひっくり返っても有り得ない。不可侵の主に誓っても絶対に、ない。
自分がこんな暴挙にでるなんて。
その証拠に、真木は今、一歩離れたところから男が(もう一人の自分が)兵部に無理を強いているところを眺めていた。それこそ映画のスクリーンのようだ。
単に「遠目に眺めている」と形容出来ないのは、カメラのアングルを変えるように目まぐるしく視点が変化するからだ。現に今は、兵部が怒りで真っ赤にした頬に、涙を伝わせてベッドに伏しているのを下から見上げていた。さっきまではひきつる彼の背を、犯す男の視点から見ていただけなのに。
また、視点が変わった。
顔を隠すように覆って伏せていた兵部の腕を無理矢理取り、背中側に捻るように引き上げるのを、今度は側面から眺めている。だから、一瞬の痛みに目を見開いた兵部の横顔も、揺れる銀の髪も、仰け反った喉も、汗を滴らせる傷だらけの胸も、余すことなく視界に入る。
(少佐……!!)
すぐに止めさせなければ、と真木は未だ鈍い頭で考える。
未だこの不可思議な現状を把握することは出来なかったが、兵部が苦しんでいるなら何を置いても助けなければいけない。
しかし、すぐにどうにもならないことに気付く。
「ぁ、あっ、助け、も、だれ、かっ」
さきほどまで幾らかは気丈に減らず口をたたいていた兵部が、今はもがくように助けを求め、手を伸ばしている。その手を、真木は掴むことが出来なかった。
兵部の指は、再び沈み敷布に皺を作るだけ。
「ゃ、も……おね、が……っ、ん、ふぁ」
自分に実体がないことに真木はすぐに気付く。
当たり前だ。誰がスクリーンの中に入れるというのだろうか。
どうして幻に触れることが出来ようか。
(少佐、聞こえますか……?!俺がわかりますか!?)
叫びももちろん届かない。声は出ていると認識出来るのに、空気に拡散した声は兵部に届く前に砕け散る。かわりに、特徴的な揺らぎのある聞き慣れた兵部の声が、嬌声になって耳をつんざいた。
「だめ、ゃっ、も、ゆる、し、……ぃゃ、あ、まぎ」
堪えきれない口の端から唾液が伝い、叫び声は徐々に弱々しいものに変わる。それでも、兵部を犯す男はちっとも追撃を緩めることはなかった。名を呼ばれ、真木は拳を握りしめた。
(なぜ俺なんだ。少佐を傷つけているのが、なぜ)
まさか自分がこんな破壊衝動を隠し持っていたとは思いたくない。このようにいつか愛する人を傷つけ壊してしまうならば、もう二度と会えなくても今すぐに兵部の前から永遠に消え去るほうを選ぶ。
「たすけ、て、真木、」
まるで自分に向けられているような声に真木は錯覚しそうになる。そしてすぐに首を振った。
(こんな少佐を見たいわけではない。苦しむ姿を見たいわけではない)
そうしているうちにも、兵部を責め立てるもう一人の真木は、突き上げる動きを加速した。
くるくる、狂くると、視点が万華鏡のように変わる。
目まぐるしく変わる視界に脳を揺さぶられる。兵部の悲鳴が、くわんくわんと鈍く反響する。歪みはますます酷くなり、拗れる胃をせり上げる吐き気とともに乖離した。思考が弾ける。
(これは夢だ。それも、とびっきりの悪夢だ)
――――
「はっ、ハッ、はぁっ」
「どうしたんだよ、真木?」
「…………」
気付くと、そこは兵部の部屋の、ダブルサイズのベッドの上だった。数時間前に兵部に呼ばれ体をかわし、身仕舞いをしてから一緒に寝入った時のまま。目に映る淡い室内灯も、染み一つない天井も、心配そうに自分を見下ろす兵部の顔も、いつもと何一つ変わらない。
ただ、喉がからからに乾いていた。
滝のような汗を流し水分が失われ引き攣った喉は、何の言葉も発しない。そんな真木を、兵部は隣に寝転び上半身だけ起こして不思議そうに見下ろしていた。
「ほんとに、どうしちゃったんだよ怖い夢でも見たか?」
子供をあやすように、微かに記憶に残る遠い昔のように、背中をぽんぽん、と叩いて黒髪に指を絡ませた。
「………少佐」
「ん?なんだい?」
「い、いえ、なんでも」
肺の中の空気を全て押し出すように深く長く、空気を吐き出す。
すぐに、夢だと気付いた。
あんな馬鹿げたこと、夢に決まっている。
あれほど夢の中では圧倒的な現実感を伴うのに、目が覚めてしまえば【ここ】以外に現実はありえない。【ここ】だけが辛く苦しくしかし幸福もある現実だった。
「酷い夢を見ました……」
言おうか言うまいか、悩んだ挙げ句真木はようやくそれだけを呟いた。うっかり透視されてはたまらないのでもちろん精神のガードだけは怠れ無いが、少なくとも苦しむ兵部を見ないですむだけで真木は安堵していた。あんな思いをするのはもうたくさんだ。
「そうか。僕も妙な夢を見た」
「それはどういう」
まさか同じ夢を見たのでは、という危惧は、しかしすぐに払拭された。
「昔の夢でさ、たまに見るんだ。僕がまた不二子さんといたころだからほんとに昔。酷い目にあったよ。その時の夢」
「はぁ」
兵部の声は、今にも寝そうなように、語尾がはっきりとしない。別に同じ夢を見たわけではないのか、と真木は安堵すると、猫がすり寄るように肩口に柔らかな銀髪を埋める兵部に慎重に腕を回した。
「でも、今日はその夢にお前が出てきた。出てきたっていうか……うん、あれがお前ってだけで、ずいぶん違うんだな」
「……どういう意味です?」
「なんでもないよ」
一人で納得するようにひとしきり頷くと、兵部はふぁ、と欠伸をした。
「僕はもう一度寝るよ。真木、自分の部屋に戻るならテレポートで送るけど、どうする?」
「少佐がよければこのままここで」
聞く意味があったのか、真木の返事を待たずに兵部はもう目を閉じていた。寝息に近い穏やかな吐息がちょうど当たる喉元をくすぐる。
「おまえと一緒にいると、嫌な夢を見ないですむ」
「それは、その、どうも」
こういう時に気のきいたことが言えない自分が恥ずかしい。
しかしそれで合点がいった。テレパスでもある兵部の、過去の悪夢を自分が受け取ってしまったのだ。しかもその悪夢は、兵部自身無意識のうちに一方の登場人物を真木にすり替えてしまっていたということなのだろう。あれが自分の抑圧された劣情の投射でなかったことに安堵すると同時にやはり根本的な意味では助けることが出来ないことに寂しさを覚える。
「君は僕に、夢の肖像権侵害を訴える権利があると思うぜ」
しかし、くすくすと声を殺して笑う兵部は、心底楽しそうに見える。
真木は一瞬、そっくりそのまま同じ言葉を返そうと思ったが、告げた時の結果をちょっと想像してみただけで恐ろしいことになるのは一目瞭然だったので、曖昧に口を閉ざすのだった。
悪夢
――――
軍属のロリ兵部は色々されちゃってると思います\(^o^)/姿や状況や完全にトレースしきってないのは、夢の中だと、例えば「自分があきらかに大人の(現状の)姿なのに小学校で授業を受けてる夢」を見ていても全く違和感を感じないっていうアレと同じ感じだと思ってください。
真木さんは基本ヘタレなんで鬼畜っぽい感じにはなりようがないですよね\(^o^)/
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