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毎日更新16日目!幸福論完結です。
いつにもましてアブノーマルですすみません。
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【幸】コウ・しあわせ
象形。手にはめる手枷を描いたもので、もと、手枷の意。
(漢字源第4版より抜粋)
ハッピーエンディング
幸福論4
兵部のためなら何でもする、と真木が真面目くさった面持ちでいうから、からかってみたくなったのだ。
「それは思考を止めるのと同じことだ」と。
兵部は強い。誰よりも強い。
しかし際限なく強いということは、限界を実感出来ないという意味で底なしに近い空虚を味わうはめになる。だからこそ、時には泣いて喚いて子供のように叫ばなければならない。
限界がなければ、作ってやればいいのだ。
「ぅあ…んっ、ぁっ…真木、何これ……何使っ…」
「ただの催淫剤ですよ。体に害は残りませんから安心して楽しんでください」
みるみるうちに理性を奪われる兵部の変化に、真木は若干揶揄する口調で見下ろした。
白いシーツの上で、同じくシャツ一枚の姿で手足を投げだしもがく姿は溺れている人間のようだった。
「やだ…これ、変に、なる…っ」
「だいじょうぶ、俺がずっとついていますから。安心して「変」になって結構ですよ」
「それが一番…こまっ…ぁあっ」
兵部は体を蝕む快楽に耐えられないのか、自分の体を抱きしめるようにしてビクビクと腰をくねらせる。
真木が海外からわざわざ取り寄せて使った媚薬は、口から摂取するものではなく、直接体内に投与するタイプだった。丸い小さな錠剤を穴から直接前立腺の付近まで押し込んだのだった。
今頃、兵部の躰の中では薬が溶けて柔い粘膜から吸収されているに違いない。むず痒さを伴う刺激に、兵部はつま先の指をぎゅっと丸めて耐えている。シャツ一枚しか身につけていない半身は、触れてもいない根が頭を擡げトロトロと透明な液を溢す。
「ぅあ…あっ、真木…なんでもする、からッ、なんとか…してっ」
「ご自分ですればいいじゃないですか。今日はまだ手は拘束してませんよ」
「出来るかっ、そんなこと…っ!」
快楽に潤んだ兵部の瞳に強い光が戻ったのを見て、真木は満足そうに微笑んだ。
「そうですか?じゃあいつまでたってもそのままですね」
俺は仕事に戻ります、と真木は兵部に背を向けた。実際兵部の気紛れのせいで無駄に水増しされた仕事が山積みなのだがもちろんそこまでは口にしなかった。昼間の関係性を匂わせたり、逆に支配の逆転したいびつな関係を昼間に持ち込むことは決してしない。
「ふ、ぁっ、ぁあっ、真木…ん、ぁっ」
しばらくすると断続的に甘い嬌声がひびいた。
自慰に耽っているのかと真木がデスクから振り返ると、そうではない、相変わらず兵部は硬く体を強張らせて耐えていた。
「お願い……、も…触って…」
油断すればすぐにでもひたひたと跳ねる陰茎に手が降りるのを必死で耐えるように、シーツに必死にしがみついている。真木は再び兵部のもとに戻ると、薄い布をぎゅっと握って白く震えている指先をとって兵部の後ろの孔にその手を導いた。
「あ、ぁあっ、やだ、やだぁっ、真木、やめろっ」
「ご自分でどうぞ」
兵部の人差し指を彼自身の穴に押し当てるとくぷりと指は穴に飲み込まれた。
「ん、ぁっああ」
とたんに今までとは比べものになならない甲高い声が響き渡った。
1度触れてしまったらもう止まらない。真木はもう兵部に触れていないのに、兵部は手を自分で動かしていた。
「ぁあっ、やだ、やめ、真木っ、見るなっ」
「俺は何もしてませんよ」
「ひ、ぁっ、っ」
呆れたように囁いても恐らく兵部には聞こえていない。
普段の兵部からは想像もつかない淫らな姿で自慰に耽る様子を真木はただ黙って眺めていたが、屈んでおおいかぶさると、1度も触れていないのにはしたなくトロトロと精液を溢してぱくぱくと口を開く茎の先端を口に含んだ。
「い、ぁああっ、も、イ、く…んっ、ぁあ」
二三度唇でしごいただけだが、一度も触れられないでずっと焦らされた性器には刺激が強すぎたのか、すぐに限界を迎えた。どくどくと溢れる精を飲み込む。
「はっ……んっ…」
「気持ちよさそうでしたね」
「はっ…はっ…」
頭を抱きかかえるようにして髪を撫で、頬にキスをした。
一度放ったくらいではまだ薬の効果は消えないが、兵部はだいぶ落ち着いた様子で真木を見上げた。
「……真木、おまえ僕のことなんだと思ってるんだよ」
「…命よりも大切な主君で上司で、たった1人の恋人です」
どう思っているか、なんだと思っているのか。
そう聞かれたならば兵部を賞賛し形容する言葉に際限はないことに気付いて真木は心の中で苦笑した。
「だったら…」
「でも、だからこそ、俺にしか出来ないことがあるんですよ」
兵部は強い。誰よりも強い。
しかし際限なく強いということは、限界を実感出来ないという意味で底なしに近い空虚を味わうはめになる。だからこそ、時には泣いて喚いて子供のように叫ばなければならない。
限界がなければ、作ってやればいいのだ。
「ぁ、ああ、いやだ、もう、やめろ、真木…!」
「まだイけるでしょ?こんなにおいしそうに咥えこんでるのに」
「やだ、やだぁ……っ!も…ゆる、ひ、ぁ、ああああ」
体位を変えながら、何度もぶつかり合って貪りあって、すでに何時間か経過していた。
背中側で括った手首に嵌められたESP錠は、リミッターが効かない兵部には気休め程度の制限にもならないが、これは「超能力は使うな」という建前程度の役割は確かに果たしていた。その証拠に兵部はどんなに虐げられ陵辱を繰り返されても真木を力ではね除けることはしなかった。兵部が本気を出せば真木などひとたまりもない。だからあるいは、この手枷のESP手錠は超能力をつかって抵抗しないことへの免罪符のようなものでもあった。
「んっ、うぁあ、もう、苦しい…」
俯せにして肩で体を支えるように腰を高く持ち上げガツガツと犯すと、既に数回放っている精液が白く濁って緩くなった穴からとろりと垂れてきた。
グチュグチュ、なんて生易しい音ではない。ぐぷっぐぷっ、と、溢れて兵部の耳を犯す。
「今この時だけはあなたは俺のものです、少佐。どう扱おうと俺の勝手のはずだ」
兵部の屈辱を煽るような、嗜虐的な言い方をわざとして、真木は兵部の顎をとらえて無理矢理うしろを振り向かせた。半開きの唇から飲み込みきれない唾液が零れ、熱で潤んで焦点のあわない瞳で、それでも必死に真木を睨む。
「おまえ…あとで覚えてろよ…」
「そんな口がたたけるならまだ平気ですね」
「ひ、ぁ…ちが…っ」
ぐ、と最奥までつきあげると、細い腰がはねあがりシーツに沈む。ビクビクと痙攣する体はぐっしょりと汗と体液にまみれていて甘い体臭がするのに舐めると塩辛かった。
「はぁ…っ、はっ……」
兵部の息が整うのを待って、今度はゆっくり腰を滑らせた。兵部の弱いところを探るようにゆっくり丁寧に内壁をけずると、素直な体は途端に甘い喘ぎ声を奏で始めた。
「ぁ、ああっ、ん、ぁ、ぁっ」
「気持ち良いですか?」
「ん、いい…」
出来るならば甘やかして、大切に愛したいというのが真木の本音だ。
どうせ聞くなら悲鳴よりも嬌声のほうがいい。
「好きですよ、そういう素直なところ」
「…ぁ……ン」
耳元で囁くと、狭い内部がさらに切なくきゅぅと狭まる。
真木自身にも痺れるような快楽が伝わって、思わず目を瞑った。今すぐ力いっぱい抱きしめて体の隅々まで優しく愛撫して兵部を感じたい。
「もう、俺もそろそろ限界です…」
「ぁ、ん、待って…これ、とって…」
兵部はがしゃりとESPロックのついた手錠を鳴らした。真木は頷くとすぐも炭素で髪を伸ばして鉄の輪を壊した。ぱきん、と軽い音を立てて外れた手枷が床に転がる。
「あなたを愛しています、少佐」
でも、と真木は苦しそうに瞳を伏せる。
「……俺は今、あなたに殺されても仕方のないことをしていると思ってます」
「嫌じゃない……おまえを嫌いになんか……ない…僕は…」
兵部は目に涙をためて首を振る。真木は兵部に言葉を最後まで言わせないように唇を塞いだ。
しきりがあることで空間を意識することができるように、縛られることで自由に見える瞬間というのは確かに存在する。まったくの自由は不自由と同義なのだ。
兵部は強い、誰よりも強く、誰よりも自由だ。
だから自分はあえて兵部の枷になろう。彼に本当の意味で自由と幸福を感じてもらうために。
兵部が解放された腕で真木をきつく抱きしめる。
真木もたまらず抱き返す。それだけでこんなに幸せになれるのに、同時に、酷く辛くなる。
兵部への抑えきれない想いがあふれる。
「ぁ…ああっ、んぁ、……」
「少佐、もう、」
真木は兵部の茎に手を伸ばすと、内部を抉る動きに合わせて追い立てる。
兵部が白い精を放ったあと、すぐに真木自身も限界を迎え兵部の中に残らず熱を吐き出した。
ぐったりとベッドに沈んで、兵部はもちろん、真木もすぐには動けなかった。
心地良い吐精感と疲労が眠気を誘う。しかし真木はまだ眠ってしまうわけにはいかずに半分意識を飛ばしかけている兵部の髪を梳いて背中を撫でた。愛撫とはまた違う、いたわるような指の感触に兵部がゆるりと漆黒の瞳を見せる。涙で滲んだ瞳がぼんやりと真木を見上げるのに気付いて真木は反対に眼を伏せた。
「すみませんでした、少佐」
その声音に、すでに真木が本来の役割を取り戻したことを悟ったのか兵部はかすかに微笑んだ。
「……平気だよ。おまえに傷つけられたことは一度もない」
しゃべる気力もつきたのか、兵部はぽそりとぽそりと長い時間を掛けて掠れた声で囁く。
「ていうか、やっぱり出来ないだろおまえには」
やたら諦観した育ての親の言葉に真木は項垂れる。
「それは…その、……信頼と受け取ってもいいんですか」
兵部は幸せそうに頷いて眼を閉じた。
ハッピーエンディング
幸福論4
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「幸」のいみを辞書で知ってから、この言葉は真木兵にぴったりなんじゃないかなーって思った結果がこれだよ!幸せが手枷の象形文字だというだけでもエロいしそこから「枷から逃れること=幸せ」になった過程も素敵。
兵部さんなまじ強いから枷なんてない→なら真木さんに枷を作ってもらえばいいじゃん!→陵辱ひゃっほーい\(^o^)/←今ココ。
でもこの場合、兵部さんの限界ぎりぎりのコントロールをしなきゃいけないから真木さん的にはただ優しくするより大変ですよ。そういう意味でも主従関係は決してくつがえったりはしてないです。この設定の真木兵なら色んな鬼畜プレイが出来そうだなー。
では、4話お付き合いくださってありがとうございました!
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