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おひさしぶりです。
更新滞ってました。前ジャンルからサイトはじめて2年、これほど「自分の文章に萌えない!」「書き方がわからない!」と何も書けなくなったことはありませんくらいの迷走ぶりでしたが復帰しました^q^ただいま。
とゆうわけで真木兵です。
久々だから短いよ。
『お休み』
朝方、とは言っても10時頃。
特に丸一日予定の無い休みの日(兵部自身が制定した。つまり、気分次第)には、まじめ一筋仕事第一の真木ですらこんな時間になっても部屋を出る気になれなかった。
「ん……」
裸の手足を伸ばし、瞳を瞼で閉ざしてくったりと伏せている兵部は、気を失っているわけではなさそうだった。白い胸が荒く上下していた。気を失ってもおかしくないことをしたのに、と真木はぼんやりと考えた。
窓の外は昨日からどんよりと分厚い雲がたちこめている。分厚い窓硝子の外はしんと冷え込んでいるのだろう。そんな寒気にきづかないほど、この部屋は生温かった。
兵部に無理をさせてしまったと自覚している真木は兵部を抱きかかえ、早々シャワールームに連れだそうとしたが、兵部は「せっかちだな」と一言切り捨てただけだった。真木の手から逃れるようにしてごろんと寝返りを打った。
「ですが、べたべたしていて気持ち悪いでしょう」
「情緒がないよ。もう少し余韻を楽しもうぜ」
兵部は目を閉ざしたまま笑った。ふ、と震えるように吐き出した吐息は物憂げな情感に満ちていて、なるほど快楽が後をひいてるのが伺えた。しかし真木は首を振る。
ゴムはしないでいい、と兵部が言ったから、額面通りにうけとり好きなだけ欲望を吐き出してしまったのだ。腹の上も、中も、真木が出したものでいっぱいに汚れていて、早くも乾きかけていた。目を奪われるのと同時に、あまり直視したくないという思いも沸き起こるが、それすらも兵部が構わないというのならいいのだろう。うとうととしかけた兵部は気持ちよさそうだった。真木は浴室に連れて行くのは諦めて、せめて風邪を引かないようにと、激しい性交の末床に落ちていたタオルケットを拾い上げた。
「やだ、あつい」
兵部は、真木がかぶせたふわりとした毛布をはねのけ、子どものようにむずかった。
確かにこの部屋は暑い。体を動かしたあとの汗と、独特の湿気と、部屋の空気が動いたことによる気温の上昇。夏でも着込んだスーツを乱さない真木ですら、じわじわと肌を犯す熱気に辟易していた。
「汗をかいているならなおさら、このままにすると冷えた時に風邪を引きますよ」
子どもでも知っている真理を辛抱強く諭す。
いくら兵部のわがままでもこればかりは聞けそうにない。万一兵部が体調を崩せば、人には言えないような行為で原因を作った自分は自己嫌悪で死にたくなるだろう。自害だ。
「めんどくさいやつだなぁ。何にも考えずにごろごろしようよ」
「怠惰」を体現したように寝そべる兵部に「めんどくさいやつ」なんてそしられる謂われはなかったが、真木は文句をいうよりも早く、兵部にサイコキネシスで引き寄せられてしまっていた。
「ったっ!!いきなりなにす――」
「あー、あったかい」
真木の広い裸の背に腕を回し、兵部はぎゅっと抱きつき目を細めた。ストーブの前で丸まる子猫はこんな表情をするのだろうか。しっとりと汗が浮いた肌のせいでいつもよりも密着するような気がして、真木は鼓動が早くなるのを感じた。寒々しい肩を抱きしめ、すべらかな白い首筋に唇を埋めて囁いた。
「……ほら、やっぱり寒いんじゃないですか」
「いや、暑いよ。暑いんだけどさ」
ぎゅうぎゅうと、体の上にのる真木をしめつける。
背中をぺたぺたと触り、長い絡まった黒髪を指で引っ張る。真木は少々くすぐったさを感じていたが、兵部のするにまかせていた。好きな人に触れられて、いやな気持ちになるはずがない。
「やっぱあーつーい。真木離れてよ」
しばらく好きなように触っていた兵部は、すぐに飽きたのか、体に覆い被さる真木の背をとんとんと叩いた。
「聞けませんね」
真木は苦笑して、反対に、さらに力強く兵部を抱きしめた。真木の腕の中で身じろぐ兵部の体臭がふわりと漂う。「あつい」「あつい」と繰り返す兵部は駄々を捏ねる子どものように可愛らしいと、真木は普段の彼との差異を思い起こしていたのだが、兵部は唐突に真木をサイコキネシスで引き寄せた時と同じように弾き飛ばした。
「……ほんとに暑いんだってば、おまえちょっとは空気よめよ!」
体を起こし、力を発動させた手を前にかざし、物理的にも真木から距離を取る。
ぷりぷりと頬を膨らませる兵部は頬を紅潮させていた。起き上がって緩く膝をたてた腰から下は毛布に覆われていたが、真木は目を逸らした。
「あ……」
視線の先には、灰色の空から降り注ぐ。
綿をちぎったような塵のような雪が、風に揺られながら落ちてきた。今年初めて見る雪だった。兵部も真木につられたのか視線を窓のほうに向けた。
「ああ、どおりで寒いはずだ」
ゆらゆらゆらゆらと亡霊のように空が揺れる。
ちらちらと視界が点滅した。
「真木、窓開けてよ」
「はぁ?!」
「もっと近くで見たい。それに空気の入れ換え」
「じゃあ先に服を来て下さい服を!」
「ちぇー」
しょうがないな、と兵部は床に散らばった真木のシャツを拾い上げ、まるで自分の持ち物のように腕を通した。真木は、それは服を着るとは言わない、と顔を顰めたが、兵部の体より一回り大きいシャツはひとまず衣服の役割を果たしていたからそれ以上は何も言わなかった。兵部はベッドをおりると素足で窓辺に近づき、自分で大きなガラスを開いた。
とたんに、寒気が部屋を覆い尽くす。
あれだけ濛々とたちこめていた独特の性の匂いは消え失せ、ぴんと張り詰めた緊張に満たされる。
兵部は窓枠に手をかけると、新鮮な空気を思いきり息を吸い込んだ。深呼吸。そして振り返ると、真木を手招きした。真木は兵部にシャツを取られてしまっていたから、下だけズボンを身に付けて兵部の元に歩み寄った。
「……やれやれ、って思ったろ今」
「思ってませんよ。この恰好のまま雪を見に外へ飛んでいったらどうしようかと思っただけです」
「ふふ、ばれたか」
兵部はくすくすと笑った。息が白い。寒そうに、はぁっと赤らんだ手に息を吐く。
真木は、兵部を背後から抱きすくめた。腕の中に閉じ込めると、ちょうど顎の下に兵部の柔らかい銀髪があたってくすぐったかった。いつもはこんなにくっつくことはない。窓を開けた少佐が悪い、と心の中で言い訳をして体を抱き込んだ。
兵部は振り返った。
「寒いので、こうしていてもいいですか」
「やだよ」
兵部は、すげなく一蹴すると、頭に顎を乗せる真木を見上げた。
「雪が降ったら、何をおいても雪合戦に決まってるだろう?」
「台風の時も外に出てましたね。いや、そうじゃなくて。まだ積もってないですよ?!」
「あとどれくらいで積もるかなぁ」
「うーん。この分だと、夕方まで待てば」
太陽が差さないので解りづらいが、今はまだ午前中だ。
朝から養い親でもある上司と何をしているのだろうと心のどこかで残った理性が冷静に囁くが、このぬくもりを前にはどうでも良いことだった。それに今日は1日、たいした予定もないのだ。
「じゃあそれまで二度寝だな」
兵部もどうやら同じようなことを思たらしい。ぐしゃぐしゃになった白いシーツを指さして笑う。
広大な海に降る花びらのような雪は、勢いを増してその日の昼には船を白く覆い隠した。
『おやすみ』
――――――
初心に帰って書いてみたんだぜ!!!
次は何を更新しようかな!1月まで本誌という名の餌はありませんが、ひきつづきぬるぬると更新したいと思います。
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