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賢木先生お誕生日おめでとー!某所のお誕生日絵チャ参加してきましたvv
ちょっと前の学生服可憐ガイズ扉絵からの妄想の学園パロシリーズで、賢木先生のお誕生日SSです。
ほら、あの眼鏡の兵部さんと、さわやか美少年皆本さんと制服着崩した賢木が可愛かったあの扉絵のやつです^^^学パロを真木兵でというリクをいただいているんですが、そっちもかきます!
よかったら前回のを先にごらんください→■
前回のちょうど一年くらいまえという設定。
以下、前のと兼用設定です。↓
戦争が日常的に行われている軍事政権の世界。
バベルは表向きはエスパー(とその研究者)の育成を謳う普通の学園だが実情は世間から隔離し卒業後は軍に囲い込むための施設。
賢木(16)と皆本(15)と兵部(15)は寮のルームメイトで、賢木だけ一学年上の6年生。
賢木と皆本は学園きっての天才コンビ。
兵部は年をとらない特異体質で、授業も出ずに何年ものあいだ15才の姿のままで学園に居続けている謎の美少年。二人にちょっかいを出している。
この3人は仲良しです。っていう時点でかなりパラレルなんで色々許してください\(^o^)/
せっかくの誕生日なのにパラレルとかニッチな選択して誰が得するんだとゲッペルさんに囁かれましたが気にしない。
皆賢←兵部です。
賢木先生お誕生日SS(学園パラレル)
はっぴーばーすでーとゅーゆー、
はっぴーばーすでーでぃあしゅーじー
はっぴばーす……
調子っぱずれの誕生日ソングが、不機嫌そうな男の声に遮られた。
「うるせー!今何時だと思ってんだ」
「あ、ごめん賢木」
「あ、起きた」
学生寮東塔の最奥に位置する一室。
木彫りの二段ベッドの上段からやけに眠たそうな声をふらせたのは、たった今誕生日を祝われていた当の賢木修二だった。賢木は寝起きのぼさぼさ頭をかきながらひょいっと器用に二段ベッドから飛び降りると、勉強机とソファセットが並んだプチリビングにぺたぺたと裸足のまま降りて行く。
「ふぁ……俺、丸二日医療研修で徹夜だったんだけど…?どういうつもりだ皆本、兵部」
似たような空色のパジャマに身を包んだ皆本と兵部は、不思議そうに顔を見合わせる。
「どういうつもりって、そりゃあ」
「自分の誕生日も忘れてしまったのかい?」
「ねーよ」
賢木は腰に手をあてると、ソファに座る皆本と、行儀悪く窓辺に片膝立てて腰掛ける兵部をじと目で見下ろした。そうすると眉間の皺がますます濃くなる。
「だいたい俺本人が寝てるのに祝うっておかしくね?」
賢木の視線の先には、ロウソクが16本よ、「HAPPY BIRTHDAY」と書かれたチョコレートプレートがのった丸いケーキ。蝋燭のオレンジ色の灯りにゆらめく生クリームは、今にも「食べて」と聞こえそうなほど甘くとろけている。
「寝る間も惜しんで軍部の医療斑に貢献してる賢木くんを起こしちゃ悪いという僕らの優しい配慮だよ?」
兵部はしれっというと、紅茶を一口すすった。
「いや、起こせよそこは」
「まあまあ、二人とも」
皆本はカップを賢木に手渡して、にっこり笑った。
カップの中身はまだ湯気がたっている暖かいココアだった。シナモンの香りがする。
賢木は受け取ると、促されるまま皆本の向かいに腰掛けた。
「それに、賢木はこうして起きてくれたじゃないか」
「起こされたんだっつーの!なんだあのヘタクソな歌は」
賢木は兵部を睨んだが、兵部は、早く蝋燭消さないと溶けるよ、と言っただけだった。
「そりゃそうだな……なぁなぁ、もしかしてこれ皆本が作ったのか?」
蝋燭をふきけしてランプの灯りの下で改めて見れば、凝ったデコレーションのケーキは麓の街の菓子屋で見かけるようなものではなかった。重厚な襞を作るたっぷりの生クリームの上に、小さな砂糖菓子のデコレーションは繊細な硝子細工のようだった。
「そうだよ」
皆本が眼鏡の奥の瞳を細めて微笑んだ。
「僕のESP実験室でこっそりね。道具は揃っているから簡単だったよ」
「調理室とかじゃないのかよ」
どんなふうに作られたんだ、と思わないでもなかったが、研究の合間をぬって手作りしてくれたのならこんなに嬉しいことはなかった。このさい調理の過程は透視しないことにする。
「すっげー嬉しい。さんきゅな」
「よかった」
喜んでもらえたことが何よりも嬉しい、と笑うのは皆本の生来の気質なのだろう。
賢木はバベルでも滅多に居ない純正の高レベルサイコメトラーあり、最年少のESPドクターの記録も更新している。皆本に出会うまで、こんなふうに誰かと笑いあえる日が来ることを知らなかったのだ。
「僕からもプレゼントがあるんだけど――」
兵部が空になったティーカップを置いて立ち上がる。
「ケーキを食べてからにする?」
「え、マジで?!んーじゃ先にちょーだい」
にかっと歯を見せて無邪気に手を出す賢木の手の平を、兵部はパチンと叩くと苦笑した。
「僕のはモノじゃなくて、ええと、」
「ん?なんだ?」
ま、いいか。
そんな声が聞こえた気がした。
次の瞬間には、
「うわ、わああああああああああ!」
「賢木センセ、叫びすぎ」
「おい、兵部どういうことだっ!」
三人は月夜の下に放り出されていたのだった。
「テレポートするなら先に言えっ!」
「言ったら面白くないだろ?」
空中で皆本と賢木が体勢を調えると、兵部はゆっくりと2人を連れてふわりと空中を泳いだ。
ESP研究施設ではあるが、不用意に能力を使用しないよう学園側に管理されているこのバベルでは、訓練以外で空を飛ぶこともテレポートをすることもないのだ。そもそも、土地の磁場のせいで天然のECM状態になっているこの学園でこれほどの力を出せる能力者は他にいなかった。
「兵部……っ僕の開発したリミッターは!」
山間の突風に煽られ寝間着がはためく。ビュオオオと風の音に負けないように皆本が声を張り上げた。
「あー、あんなの効かない効かない。今日くらいは多めに見てくれよ、僕らの賢木センセの誕生日なんだし」
「おい賢木もなんかいってやれ!」
「よし、兵部よくやった!」
「なんだよそれ」
「皆本くんは堅いってことさ」
兵部は馴れたように旋回すると、ぐんぐん高度をあげた。足元に広がる赤レンガの連なりがどんどん小さくなる。濃いグリーンの森と混じり合い、教会のモザイク壁画を思い出す。
「どこまで行くんだよ!」
「ないしょ!」
あの月に向かうのか、と賢木はなぜかそう思う。
陰りのないまあるい月がぐんぐん近づき、光が強くなる。月のせいで星はあまり見えなかったが、足元を見下ろせばちらちらと点在する無数の松明の灯りがオレンジの星のようにも見えた。
「うーん、ここらでいいか」
兵部は独り言のように呟くと、ひたりと見えない羽根を降ろす。
促されるままふりかえると、学園を囲いこむ谷と森が一眸出来た。
「うわ、すっげー」
「きれいだろ?僕らのいるとこは。でも、あそこにいちゃこの景色は絶対に見ることができないんだ」
空と地が出会う境界線はミルク色の霧に溶ける。夜露を含んだ生温い初夏の風が喉を潤し、獣の咆哮と風のうなり声が絡みあった。賢木が思わず兵部を見ると、柔らかな月の光が兵部の銀髪を揺らしていた。
兵部の視線に誘われるまま下を見ると、なるほど、確かに学園を囲む丸い谷は難攻不落の軍事要塞を思い起こさせる異様な形をしている。
「ねぇ賢木くん。君さえよければ僕の――」
「だめだ、賢木!」
兵部の言葉の続きに自然と耳を傾けていた賢木を皆本がぐっと腕を引っ張った。
賢木は驚いて皆本を見たが、彼はいつになく真剣な顔をしていた。
「だめだ、賢木。聞いちゃだめだ」
「なんだよ、僕はまだ何も言ってないじゃないか」
「なんだか知らないが賢木を勝手に誘惑するのはやめてくれ」
「は!?」
賢木は思わず目を白黒させた。
誘惑とかどうとか、自分には話が見えない。兵部が何をいわんとしているかは、薄々は察していたが。
彼は常からこのバベルの在り方を、ノーマルのノーマルによるノーマルのためのESP施設だと言っていた。
賢木を間に挟んで皆本は兵部につめよる。
「だいたい、今言うことじゃないだろ」
「今日だから言ってるんだ。ノーマルのために生きるか、エスパーのために生きるか、彼自身が決めればいい」
兵部は満月を背負って肩をすくめた。
「じゃあ僕も誕生日だから、言わせてもらう。賢木」
「え、なに、皆本」
がしっと肩を掴まれて、賢木はちらりとその手を見遣った。透視する暇もないし、しなくても彼が大まじめだということは透視しなくても伝わりその迫力に何も言えずに皆本の目を見た。
皆本はすうっと息を吸い込んで、そして吐き出した。
「君が好きだ。愛してる」
掴まれた両肩が熱い。
何を言われたか理解した直後に頬が殴られたみたいにかっと熱くなる。
「え、何いってんのおまえ?!」
俺男だぞ、とか先輩だぞ、という言葉は飲み込まれて言葉にならない。
どうしようと一瞬息をつまらせると、
「ぷっ………ハハ、ハハハハッ」
兵部の笑い声が聞こえた。
何がそんなにおかしいのか、腹をかかえ、目尻に滲んだ涙を拭っていた。
「ケッサクだな、皆本。あーおかしい、そうくるとは思わなかったよ。さて、どうするんだ、賢木センセ」
本当にどうしよう。肩はまだ掴まれたままだし、皆本の目が本気だと言っている。
そして自分の顔はこれ以上ないほど赤い。多分。
「……えっと。その、続きは部屋で」
なんの解決にもなっていないが、この足場もない空中に兵部の力で浮かんでいる状況での告白はどうにも落ち着かない。賢木はごまかすように頭をかいたが、皆本は優しく微笑んだ。
「いいよ。僕のケーキ、まだ食べてもらってないしね。兵部――」
「ああ、もどろうか」
事の発端の兵部に、皆本は普通に話しかけるのがまた賢木にはわからなかった。
さっきまでいがみ合っていたずの二人は今はそんな気配を微塵も感じさせないのだ。
来た時と同じだけ、また月夜の旅を続けなければならない。
今度はゆっくりと、ふわりふわりとすべるように下降しながら、賢木は隣の兵部に聞いた。
「なあ、結局おまえのプレゼントって、この夜景だったのかよ?」
それとも、エスパーがどうとか、ノーマルがどうとかいう提案のほうか、あるいは。
賢木は皆本をちらりと見た。
「さてね。ただ、君は僕に感謝しなければいけないことは確かだな」
兵部はくすりと笑うと、二人を置いて夜空に飛び出した。
(了)
――――――
なんだかんだ仲良い三人が書きたかっただけです。
あと、パジャマで空を飛ぶ男子学生3人。
あと、本人寝てるのに祝われしかも起こされる賢木先生\(^o^)/
扉絵の幼い感じの3人がたまらんです
お気に召したらぽちっといただけたら嬉しいです