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葉祭り4日目!
「ともすれば」のひよりさんと葉祭り共同SS企画第一弾は、同じテーマで書こうぜ企画。
テーマは「浴衣」です。
めちゃくちゃどエロ可愛い賢葉をぜひともひよりさんちでご覧くださいvv
→ひより様ver(賢葉賢)
うちは最終的に兵葉ですが、葉兵葉+葉パみたいな攻めっぽい葉くん話になりましたv。
ゆかたびら
「ねぇボス。頼みがあんだけど」
とある夏の夕刻、俺はパティを連れて少佐の部屋に訪れた。こういう時はテレポーターがいると話が早い。
「どうしたんだよあらたまって。小遣いならやんないよ」
俺のこといくつだと思ってるんだこのジジイは。
まあ、先月ちょっと一億ほどねだったのは事実なので俺もその件に関しては強くは出れなかった。
「ちげーよ。ボスの浴衣貸してくれない?」
「浴衣?なんでまた」
「パティが日本の祭りは知らないっていうから連れて行こうと思って」
なあ、と隣を振り返ると、パティは妙にそわそわしながら少佐の無駄に豪華な寝室を見渡していた。何か珍しいものでもあったのだろうか。
「ごめんなさい。私、何も覚えてなくて、知らないことばかりで……」
「たとえ記憶があったとしてもおまえはたぶん日本人じゃないし、それは関係ないんじゃん?」
こいつはたまに妙に気にしすぎるところがあるからなんとなく放っておけない気分になるのだ。パティの金髪は濃い色の浴衣が合うだろうなあとぼんやりと思いながら、頬に手をあてソファに物憂げに寝そべっている少佐を見た。
「とゆーわけでパティとデートしてくるから」
「へぇー。僕も行きたいなー、お祭り。林檎飴とか綿菓子っていいよね」
「デートだっつってんじゃん。ジジイは家で氷でも食ってろ」
「嘘ですそんなの!少佐も一緒にいきましょうよ!そのほうが萌え……じゃなかった、楽しいです、きっと」
「ありがと、パティ。でも冗談だよ、2人で楽しんでおいで。じゃあ葉の浴衣は僕が貸すけど、パティのはどうするの?女の子のはさすがに持ってないなあ」
「そっちはだいじょーぶ。紅葉に借りることになってるから」
「わかった。じゃあちょっとまってて、着せてあげるよ」
少佐はやはり怠そうに緩慢な動作で起き上がると、クローゼットを念動力でパパパンと開いた。少佐はいつも学ランしか着ないくせに、この部屋のクローゼットはどの部屋よりも多いし大きい。
って今少佐はなんて言ったんだ?
「い、いいよジジイ!それくらい自分で着れる!」
「えー。でもすぐだし簡単だよ。デートなんだろ?ちゃんとしなきゃかっこつかないぜ?」
「いいですね、それ!見ててもいいですか?」
なんだかパティが妙に楽しそうで嫌な予感がする。少佐ももちろんいつもの人を喰ったような笑みを見せている。それはまあ、いつものことだからいいんだが、ソファ横のテーブルの上に散らばった薬包シートやら水差しやらの残映がずっと頭の片隅にこびりついて離れなかった。
――――
「ほんとによかったんですか?少佐のお誘いことわって。しかもひどい言い方して」
私は少佐のことが気になって、安っぽい色取り取りの豆電球や提灯にライトアップされた華やかな出店が連なる通りにいるのに、なかなか溶け込めないでいた。いや、原因はそれだけじゃないかも。葉先輩が言うから、先輩の腕に手を回してまるで本当のデートにようにしているが、どうにもくすぐったいような、納まりが悪いような気がするのだ。
「うーん、実はさ……。少佐、昨日の夜から体の調子があんまよくねぇんだよ」
「そうだったんですか?!」
私は驚いて思わず先輩を見上げた。
「……皆には言うなよ?たいしたことないっていつも強がってるから。バカだよな、もういい歳なのに」
「バカは先輩も一緒です。いくら少佐のことを思って心配しているからってあんな言い方しちゃ誤解されますよ」
「いいのいいの。それにこれをデートだって思ってるのは嘘じゃないぜ?」
私は葉が「祭りにつきもの!」と縁日についてすぐに買ってくれたセルロイドのお面の縁をなぞって俯いた。
ピンク色の髪。可愛いチルチルのお面と目があう。
「またそんなこと言って。それこそ誤解しちゃいます。先輩は女の敵ですね」
「うわー俺こんなにやさしーのに。ま、いっか。じゃあ少佐には土産買っていこうぜ」
「ふふ、綿飴と林檎飴でしたっけ?」
「趣味がやっぱりじーさんだよな」
またそんなこと言って。
少佐のことを口にする時の葉先輩の目がいつになく優しいことを私は知っている。
いえ、私だけではなく、きっとパンドラのメンバー皆が知っていることかもしれないけど。
「お、金魚すくい発見!ほらパティ、行こうぜ」
先輩は私の腕を掴んで走り出す。はき慣れないゲタと細かな砂利に足を取られて思わずよろけそうになる。掴まれた手首からかっと熱が広がり頬にまで伝染した。
射的も、金魚掬いも、輪投げもやって、たっぷり初めての日本の夏祭りを経験した。
手にはたこ焼きと焼きそばなどのパックが詰まった白いビニール袋をぶら下げて、私達は花火を見物する人混みに交じって高架橋の手すりによりかかって河川敷を見下ろしていた。
花火を見るなら空を浮遊しながらのほうがよほど楽だし涼しいと思ったけど、葉先輩が「こっちのほうが雰囲気出るだろ?」とノーマルに交じる不自由な方を選んだのだった。確かに、こうやって人混みの中で夜空を見上げるのはちょっとした一体感もある。既にきっちり着込んだはずの浴衣が人に揉まれて乱れているのはこの際気にしないことにする。それよりさしあたってもっとも困っているのは――
「パティ、もっとくっつけよ。そっちせまいだろ?」
「……先輩、酔ってますね?」
「んゃ?じゃあパティも飲めって、ほら」
「何が、”じゃあ”なんですか」
「いらねーの?」
「……いただきます」
差し出されたビールの缶はもう何本目かわからない。ひったくるように奪ってやってゴクリと飲み干した。
「おぉ、イイ飲みっぷり。っておまえ未成年じゃねーの?」
「自分の年なんて知りませんよ。それを言うなら先輩だって」
拾われて来た子供が多いパンドラでは自分の年もわからない人間がほとんどだ。それは幹部である葉先輩も同じで、一応多分おそらく二十歳前後だと思うがどうも確信はない。なにせこの童顔だ。そもそも犯罪組織なんだから少しぐらい社会の常識から逸脱していたっていいんじゃないかと問うと、それは違うよ、と一笑に付された。
「そーゆー常識にはうるさいよ。まあボスが戦前の古い人だし、真木さんもあんなんだし」
「……じゃあ、女の子にセクハラはアリなんですか?」
後ろから抱くように回された腕をぎゅっと抓って見上げると、先輩はぱっと手を離してイタズラめいた笑みを零した。本当にこの人はそういった笑顔がよく似合う。
「少佐に言いつけますよ」
「ゴメン、冗談っすよパティさん」
そんなこと言ったそばから、今度は肩を抱き寄せられる。今度は多分、私の隣にいるヤクザみたいなガラの悪いおにーさんの煙草の火が私に当たりそうだったからだ。
(アリガトゴザイマス)
私は葉先輩の腕の中で思わず言葉を失う。お酒の匂いと、男の人みたいな匂い。
胸の奥がしめつけられたみたいにぎゅって痛くなる。
私は確かに先輩に恋心のようなものをもっているけれど、それは萌えにくらべたらはるかに小さいはずなのに。少佐や真木さんと一緒にいる時の先輩が好きで、その萌えに比べたら私のこんな思いなんてたいした価値もないだろう。そんなことを悶々と考えて居ると、一発目の花火が打ち上がった。
――――
ちょうど23時を回ったころだっただろうか。僕が冷房をガンガン効かせた部屋で本を読んでいると、(真木に「地球に優しくありません!」って怒られそうな気がするがきにしない)、扉をノックする音が聞こえた。
「開いてるよ」
ドアの外にぞんざいに言葉を投げかけ、寝転んでいたソファに起き上がる。本当は鍵はかかっていたけど、言いながらサイコキネシスで外したので嘘ではない。あの子にしては大人しく部屋に滑りこみ、ドアをきちんと閉め、鍵までかけるのが気配で伝わってこっそり苦笑した。鍵をかけなければならないことでもするつもりなのだろうか。
「おかえり、ずいぶん早かったね」
もう、一般的には深夜と言える時間帯だけれど、パティも葉も極度の夜型だからこの時間の帰宅は予想よりはるかに早いと言えるだろう。着慣れない浴衣が人混みで乱れたのか着付けた時の面影はなくくたびれていた。
「楽しかったかい?」
「ああ、パティも喜んでくれたし」
「それはよかった」
「そうだ、少佐にお土産。林檎飴と綿菓子とチョコバナナとラムネと焼きトウモロコシと金魚」
金魚を食べ物と並列するなと思いながら、白いビニル袋ごとずずいと突き出されるそれを受け取って袋の中を覗き込んだ。どう見ても2人分か3人分はある。
「はは、またずいぶん買ってきたね」
「一緒に食おうと思って。それより、具合はどう?寝てなくて平気なのかよ」
しまった。薬を隠すのを忘れていたことに今さら気付いた。2列ずつ規則正しく並んだ薬包シートから半分くらい錠剤が消えているし銀紙の切れ端がテーブルの上にあちこち散らばっている。
思わず隠すように体で遮って葉の前にたつと、これみよがしな溜息をつかれた。
「たいしたことはないよ。僕も行きたかったなぁ」
「無理すんなよ。万一具合悪い時にバベルの連中にでもあったら大変だろ?少佐はなんつーか、間が悪いから」
「そうかもね」
他に言葉も見あたらず、曖昧に頷いた。葉は少し酔っているのか、いつもよりも積極的に、つまり甘えたような仕草で距離をつめる。力強い腕に抱きしめられると、つーんとアルコールの匂いが漂った。
「悪かったね。ああいう言い方をさせてしまって。心配してくれたんだろ?」
「ちげーよ。いや、ちがわないけど。いいじゃんまた今度一緒に行けば。来年一緒に行こうよ」
「わざわざ来年まで待たなくなって、8月の間は日本全国あっちこっちで祭りなんてやってるじゃないか。きっと来週だって」
「そっちももちろん行くけど。でも来年も、少佐と一緒に行くよ絶対」
アルコールに潤んだ瞳にじっと見つめられて、まいったな、と僕は視線を外した。やけに視線が熱っぽいのは多分酒のせいじゃない。でも、僕は気づかないふりをした。
「そうだね。来年も一緒に行けたらいいね」
未来の約束なんて何一つ出来ないから。
亡霊のようにまだしつこくこの世を彷徨っている僕に、平和な未来を願う資格なんて多分ない。
だから、刹那に打ち上げては強烈な閃光を残して消える花火のような、そんな儚く煌めく夢を見るのだ。
ゆかたびら
――――――
祭りのあと
(おまけ)
林檎飴とチョコバナナをぱくつきながらソファに並んで深夜にやっている三流アクション映画を半分以上聞き流しつつ見ていると、葉が兵部にもたれるようにして手を伸ばした。
「少佐、口開けて」
「え、なんだよそれ」
口元に何かを近づけられ、兵部は反射的にあごを引く。
「なにって、綿菓子。少佐のリクエストの」
「……なんか茶色いんだけど。それにしわしわのカチカチ」
「そりゃ時間たつとそうなるって。ほら、」
あーん、と。唇に茶色くなりかけた白いティッシュのような綿みなたいなものを押しつけられる。
「……んっ。うわ、べたべたする」
仕方なしに飲み込んだが、ちょっとタイミングを逸したようで。唇が妙にべたついた。
「だいじょぶ、俺が舐めてやるよ」
「おまえだいぶ酔ってるだろ」
後ろ頭を抱えるように抱き込まれ、兵部は必死に顔を背けて抵抗したが、酔っ払いには無意味だった。
「んー酔ってない酔ってない。まだ平気」
ぺろりと舌を伸ばし機嫌の良い猫のようにじゃれる葉。
ふらふらと揺れる悪魔の尻尾が見えるようだった。アルコールの匂いがつーんと鼻をつく。
「こら、葉、いい加減に……!」
「少佐、俺の指も綿あめのせいでベタベタしてるんだけど。舐めて」
散々唇を舐められ、ようやく顔を離したと思ったら今度は指を近づけられる。
指先の甘いに匂いに誘われるように唇を開くと、予想以上に甘い指が侵入する。
「はっ……、んっ、ふ……」
茶色いざらめの滓が張り付いた爪の先をなめ、指を舐めとる。
歯列をまさぐるように好き勝手に暴れる指をぴちゃぴちゃと舐めていると、だんだん味がうすくなった。
「ん……、はっ、葉!」
呼吸が荒くなり、閉じきらない唇の端から唾液が一筋伝ったところでようやく葉は兵部の唇を解放した。
そして今度は葉は何を思ったのか兵部の学生服を脱がしにかかった。ぷちんぷちんと、襟元のボタンを外して現れる白い肌に、葉は半分しぼんだ綿菓子の袋から残りの綿を千切って取り出すと擦りつける。
「な、何してるんだ……!」
体を一歩引いた兵部に酔っ払いはかまわず、白い肌の中にあって唯一赤く色づいた胸の一点に綿を追加する。
そしてちろりと覗く濃い色の舌。
「……んっ、ぁ…少佐の体甘いっすね」」
「んっ、あ……葉、やめ、」
「いいじゃん。綿菓子って面白いね。フワフワの糸みたいなのに舐めるとすぐに溶けてこんなにぐちょぐちょになるんだ?全部舐めてあげるよ。アンタ今日は調子悪いんだろ?俺が全部してやるから」
舌先でつつかれすぐに硬く尖る変化に戸惑い、兵部はサイコキネシスで無理矢理体を引きはがす。
兵部に覆い被さったまま、しかしある程度の距離を置かれた葉は、とろんとした目を不満げに揺らす。
扇情的な瞳の色と、四つ這いのようになって大きく開いた浴衣の襟ぐりから覗く健康的な肌の色に、今まで散々舐められていた兵部もまた熱に煽られる。
「……あまり調子乗るなよ、葉?」
ソファの反対側の肘掛けを枕にするように、葉をどさっと押したおす。
腕力では叶わないが、力を使えば葉に勝算があるはずもない。
「ぁ、ちょ、少佐なにし……」
「何っておまえと同じことなんだけど?僕に敵うと思うなよ?」
兵部はサイコキネシスで引き寄せた綿菓子の袋から、残りを全て取り出した。
「ほんとだ、甘いね。それに舐めるとすぐ溶ける。ぐちょぐちょだ」
「ゃ、め…くすぐっ……!や、だ……!今日は俺がやるって言ったじゃん!」
葉は往生際悪く脚をばたつかせて抵抗するが、葉が身につけているのは浴衣一枚である。暴れるだけ袷がめくれ脚が見え、さんざんに乱れた襟からは半身の全てが覗いていた。紺色の帯だけが、唯一まきつく布をかろうじて衣服の形にしていた。
(せっかく僕が着せてやったのになあ)
兵部はこっそりとぼやきながら、しっかり締め付けた帯を解きにかかるのだった。
あとの祭り
――――――
最近兵葉兵なリバがお気に入りです\(^o^)/
「祭りのあと」と「あとの祭り」じゃだいぶ意味が違うよね。
お気に召したらぽちっといただけたら嬉しいですv